女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss
  • ブックマーク

特集「ベストコレクション」

2015年11月29日

特集「星の降る夜は/ベストコレクション」⑮
リゾーリ&アイルズ(2010〜 ミステリー映画)

Pocket
LINEで送る

制作総指揮 ジャネット・タマロ

出演 アンジー・ハーモン/サッシャ・アレクサンダー

シネマ365日 No.1584

理解者 

特集「星の降る夜は/ベストコレクション」

女子バディものとしては、サンドラ・ブロック扮するヒロイン、グレイシー・ハート、「チャーリーズ・エンジェル」のアクション女子三人組が古典的だ。2010年代になって参画した本作が、2015年現在「シーズン5」を終え「6」に向け進行中という、非常に息の長いヒットになりました。一話完結であることもあっさりしていてけっこう。たとえば「ザ・ブリッジ 国境の闇」は「シーズン1」を通しで見るなら500分以上。DVDで見るとしても、時間をひねりだすのが難しい。いやいや、そんな周縁系の理由などどうでもよろしい、5年以上にわたって制作されているのは、やっぱり中身がいいからですよ▼一言でいえば、女ふたりのコンビネーションです。この作品だけはゲイ映画に入れることをすっぱり、あきらめました(笑)。刑事のリゾーリと検視官のアイルズ博士の愛の告白? どこ探してもないです。どっちも仕事熱心ですがタイプといえば、刑事はクールで直感的、検視官は実証的で客観的。結婚する気のないリゾーリにやきもきする母親、姉を尊敬して警官の道に入った弟、子供たちを見守る父、理想的な家族でもある。アイルズは名門キングス・カレッジ卒。裕福な家の恵まれた環境で心おきなく才能を伸ばし、今や泣く子も黙る「黄泉の女王」。生きている男を気色悪がるのがたまにキズだ。あえていうと、ヒロインたちは行儀よく類型におさまり、これといった独創性があるわけでもない。そう思いながら「あと一話、今夜中にあと一話」とついつい見てしまうのは、なにゆえだろう▼今までみたシーンで覚えているところがある。パーティーに出席していたリゾーリが、プンプン怒ってテーブルのワインボトルをわしづかみにし、辺りを蹴り倒すような勢いで退席する。どこで飲むのだろうと気になっていたら、つぎのシーン、リゾーリはアイルズの部屋で、ひったくってきたワインを開け、うまそうに飲んでいるのだ。あらそう、あのときからリゾーリはアイルズとふたりで飲みたかったわけね。だからしっかり、ワインをお持ち帰りしたのだわ。ふうん。仲のいい友だちとはこういうことをいうのか。つまり、リゾーリはアイルズの、アイルズはリゾーリの最高の「理解者」なのです。色恋より、ひょっとしてもっと強い絆かもしれない。同じベッドに寝転がって「友だちの添い寝? それとも愛の告白?」と聞くリゾーリに、アイルズは頓着なく、事件の手がかりをなぞる。それでひらめくことがあると、リゾーリは夜中であろうと夜明けだろうと、飛び出していく。リゾーリは短大卒で、学歴にコンプレックスがあるとアイルズに打ち明ける。「でも賢いわ。人生と人間をわかっているわ。警官にとってそれは学歴より必要なものよ」とアイルズは言う。そういうときのアイルズの真摯な表情が、たぶんリゾーリは好きなのだ。アイルズの知性に対する信頼、彼女が駆使する専門分野の高度なリテラシー。アイルズはアイルズで、男社会のなかで怒ったり嘆いたりしながら、自分が選んだ大好きな仕事に打ち込むリゾーリが可愛くみえる。彼女らはお互いの本質を、理解しようと努力する必要もなく理解しあえる相手に、しかも同じ職場というベストの環境で出会えたのだ。あっさり言えば、ふたりは仲がいいのだ。親子だろうと夫婦だろうと、上司と部下だろうと、男と女だろうと、男同士だろうと女同士だろうと、年齢差があろうとなかろうと、どこの国の人間だろうと、人が人生に与えられる最高の賜物、お互いの「理解者」を得ている安心と幸福感が、この映画を心地のいい映画にしている。

 

 

Pocket
LINEで送る