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シネマ365日

2015年12月18日

特集「それいけ、アニマルフェスティバル4」③
テッド(2013年 コメディ映画)

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監督 セス・マクファーレン

出演 マーク・ウォルバーグ/ミラ・キュニス

シネマ365日 No.1603

変態クマ 

特集「それいけ、アニマルフェスティバル4」

セス・マクファーレンはスカトロフェチか。「荒野はつらいよ」でも辟易したけど、ウンチのシーンを作らずにはおれんのだわ。かなり屈折した幼児趣味が「テッド」ではあからさま。8歳のとき親友同士でいることを誓った、ひきこもりの主人公ジョン(マーク・ウォルバーグ)と、クマのぬいぐるみテッド(声=セス・マクファーレン)が27年後もいっしょにいて、男同士で暮らしている。ぬいぐるみに命が宿って云々、という面倒な話はパスします。ジョンには4年越しの恋人ローリー(ミラ・キュニス)がいる。ジョンはレンタカー事務所の受付で、ローリーは有名広告代理店の責任者だ。ローリーはジョンとテッドが密着しているのが気色悪い。当たり前だけど。ジョンは35歳にもなってウダウダと毎日テッドとクスリをやり、テレビで昔のヒーローものを見て喜んでいる未成熟男。テッドは酒・ドラッグ・女、なんでもこいのエロクマ。ともに社会的存在としては、パートナーになれない、あるいはすべきでもないドロップアウトした男(?)ふたりを、ローリーは支え、成長させるのである。どこまで男に都合よくできているのだろう。世がいくらダイバーシティ(多様性社会)の大合唱でも、差異を認めることと、ばからしいことを認めるのは筋が違うだろ▼かまっていても仕方ない。それより世のマトモなことを、いっさいこの映画には通用させないと決めた、マクファーレンの跳躍ぶりを見よう。テッドはぬいぐるみだがセックスが大好き。顔射まできっちりやるおぞましいクマ。しかも勤務先のスーパーで美人をナンパし、計算機に下半身をスリスリするいやらしいこと。勤務先と書いたが、ジョンはローリーといっしょに暮らすため、テッドを別れて住むことを決意、といってもすぐまたヨリを戻すのだけど。テッドは自活するため求人に応募し、就職し、制服を着てレジにいるのだ。テッドはさびしいものだからジョンに電話する。ジョンも内心ふたつ返事。悪友は再びつるみ、ローリーはこの映画では完全に、放ったらかしの冷や飯食いである。それになんぞといえば「フラッシュ・ゴードン」のサム・ジョーンズが勇姿をみせる。どうでもいいところにばんばん自分の趣味を挿入させる神経って(ホントの映画オタクにしか、この場面の面白さはわからんだろ)という思いあがりよ。映画批評にも、この手のものがあるから注意しなくちゃ(笑)▼マクファーレンの男たちはみなヘタレのアウトローで、彼はそんな男が好きなどころか、男たるもの、そうあるべきだという確固たる信念がある。でも女はマトモでしっかり者でないといけないのだ。男がいくら羽目をはずしても、世間からの逸脱者でも、最後はしっかり受け止めてくれる安全地帯が女であって、女はそこで男を待っていなければいけないらしいのだ。映画の装いは一件ハチャメチャだけど、女に関してだけは、旧態依然とした良妻賢母が彼のあこがれなのよ。「荒野はつらいよ」でも、主人公に拳銃の撃ち方を教え、ガンマンとして対決できる、大人の男に変身させるのは、シャーリーズ・セロンの役目だったでしょう。「テッド」はファンタジーという形をとっているけど、彼の意図する女性観の源泉が、とてもわかりやすく表れた映画だわ。ついでにいうなら、テッドというエロクマの創造は、動物の擬人化ではなく変態化なのよ▼「毒をもって毒を制す」というけど、中年親父の図々しさで、怖いものなしのテッドが「やばい」と思うのが、ジョバンニ・リビシ扮する変質者。彼は息子にクマのぬいぐるみを与えようと、テッドの誘拐を企む。細くて背の高いジョバンニが、影のようにスクリーンに現れると、さすがのテッドも寒気がする。球場のサーチライトの鉄塔によじのぼる、短いテッドの脚を、ジョバンニがつかみそうでつかみきれない。ターミネーターのギャグか。墜落したテッドはお腹がひきちぎれ、裂け目から綿が散乱し虫の息。ローリーが綿を詰めなおし、胴体を縫い合わせ、窓から流れ星に願いをかけるとテッドは生き返るのだ。ンま。なんだ、かんだ、いったところでハリウッドの男性神話は不滅なのだ、わかったか、という無邪気なハッピーコールが聞こえそうな大ヒット作。

 

 

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