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シネマ365日

2015年12月19日

特集「それいけ、アニマルフェスティバル4」④
ねこタクシー(2010年 ファンタジー映画)

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監督 亀井亨

出演 カンニング竹山/鶴田真由/山下リオ/内藤剛志/芦屋星/室井滋

シネマ365日 No.1604

ネコの神通力 

特集「それいけ、アニマルフェスティバル4」

こういう「心温まる」映画にケチつけたら怒られそうですから、ゆるゆるいきます(笑)。公園にいたオスの捨て猫・御子神(みこがみ)さんが、タクシー運転手、マセガキ・ツトムさんの車に乗る。彼はタクシーが大好きで降りようとしない。マセガキさんは人とコミュニケーションをとるのが苦手で中学の教師をやめてしまった。家族は教師の妻アヤコさん(鶴田真由)と娘のルリ(山下リオ)だ。しおれた中年のパパに女たちの目は冷たい。娘は「パパのパンツをいっしょに洗わないで」とママに頼み、ママも平気で「ルリがこういうのよ」とパパに伝える。職場の売上最下位。朝礼では目立たないよう隅っこで、太った体を縮めている。要するにパパは公私とも、居場所のない人なのである▼タクシーにネコが乗っているのが珍しく、お客様と笑い、会話がふえたパパ。御子神さんと仲間のコムギを飼いたいというが、ペット禁止のマンションなのでママは反対、でもルリは「パパが自分のしたいことを言うなんて初めて」と味方になりOK。ちなみにママは、子供の頃飼っていたイヌに死なれ、二度と辛い目にはあいたくないというのがホンネだった。イヌの名前はツトムだった(パパといっしょ)。パパの成績はあがり、家でも会話がふえ、ネコ二匹はパパの救世主となった。でもパパの売上急上昇の理由がネコにあると知った同僚のヒトミさんは自分の車にもネコを乗せ、たまたまマスコミの取材にあって、ネコタクシーは大きく報道された。そこで動物愛護のNPOから連絡を受けたという、保健所のムナカタさん(内藤剛志)が登場。彼は動物取扱業務担当だ。動物園などが展示する以外に、営業目的で動物を取り扱うのには「展示業務の半年以上の実務経験があるか、展示業務について1年以上の教育を受けた」資格が要るのだ。ネコをタクシーに乗せて営業し、ネットで宣伝するのは明らかに営利目的である、ということになった▼ヒトミさんもパパもネコとの同乗は自粛。でもヒトミさんはタクシーを辞め、大型トラックの運転手になってネコを同乗させている。パパは、大好きなタクシーに乗れなくなって、すっかり元気のなくなった御子神さんが気がかり。通信教育で資格試験に挑戦し1年後みごと合格した。パパの本気度にムナカタさんは内心感激しているが、起こりうるトラブルを思うと「ウン」といえない。パパは一度御子神さんと自分のタクシーに乗ってくれとムナカタさんに懇願する。ムナカタさんは故郷、東北から来ているお母さんといっしょにタクシーに乗った。御子神さんを見たお母さんはたちまち膝に抱き上げ「ほら、だいておやり」と息子におしつける。ムナカタさんの家の家業は牧畜で牛を飼っていた。いちばんかわいがっていた子牛が売られるとき、ムナカタ少年は泣いたそうだ。お母さんのそんな話を聞きながら、ムナカタさんはやさしく御子神さんの背中をなでていた。御子神さんはパパとであった公園で、勤務中のパパが「1時間だけだぞ」と休憩に降りてダッコしているとき、パパに抱かれたまま死んだ。パパはタクシーをやめ、中学の教師に戻った▼まあね、ペットと人間の成長物語なんて、あるようでないと思うのですけどね。動物好きはイヌやネコによって自分が成長しようなんて、ケシ粒ほども考えていない。ただいっしょにいたいのだ。彼らはよき友かもしれないが、それによって癒やしや慰めを得るかというのはウソっぽい。自分の片割れというか、あえていえば一心同体だろう。親子でもない、兄弟姉妹でもない、親友でもないけど、大好きなやつ。パパのダメ男ぶりが誇張されすぎて、戯画的だった。ドロップアウトしたパパがネコで再起したというより、妻にも娘にも弾き返されていた愛情を、ちゃんと受け入れてくれるもの(御子神さま)に出会えて、人間らしい感情を取り戻したというほうが正しいと思える。でもグダグダした解釈は意味ない。そう、すべては御子神さまの、ネコの神通力なのだ。

 

 

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