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2011年10月29日

人工ボディで明日を切り拓く(1)

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工房アルテ・福島有佳子

すべては、お客様のために―工房アルテ・福島有佳子さん―

 先天的であろうと後天的であろうと、自分の体の一部が失われた。そういった体の一部を補う「人工ボディ」を20年前から作成し、多くの人を救ってきたのが「工房アルテ」の主任技師・福島有佳子さんだ。
 人工ボディを作り始めたきっかけは、最初に入社した会社に耳のない人が相談に来たこと。「頭や顔にやけどを負われていたんですが、顔を隠したくても耳がないのでマスクができなかったんです。そこで、耳の代わりになる突起を作りました」。
 元々、絵を描くのが好きで、陶芸が趣味。まったく要素がなかったわけではないが、誰かに教えてもらったわけでもない。完全に独学、手探りで人工ボディを作り始めた。「最初はお客様の気に入るものが作れず、怒鳴られることもたくさんありました」。人工ボディを投げ返されこともあった。ただ、そこで立ち止まらなかった。
 「泣いてもいい。でも、泣きながらでも手は止めない。私が求められているのは悔しかったり、お客様に同情したりする事ではないと思ったから」。手を止めている暇があったら、いいものを作れ。120%を目指せば、100%のものが作れるかもしれない。だから120%を目指せ。福島さんの信条だ。「落ち込んだときにはリフレッシュも必要です。でないと、お客様にいい人工ボディは作れないから」。福島さんの考えはすべてが『お客様のため』に帰着する。
 「体の一部を失うことは、それだけで精神的なダメージを受けます。それだけに、いろんな事を望まれます。だからこそ、100%に近づけたい、良いものを作りたいのです」。作り手は自分だけではない。相手とともに作るもの。体に欠損がある理由も、人工ボディに対する思いも異なる。同じ欠損でも柔らかさを変えるなど、すべてがオーダーメイドだ。相手の思いを聞き、自分たちのできるすべてを出して人工ボディを作っていく。
 「うちにはスタッフが6人いますが、指名制ではありません。ご縁があり担当させて頂くことで、学び、全身を作れる技術者へ、それが工房全体のレベル向上になります。もちろん接客、造形、色作りなど、それぞれに得意な分野があります。個人のいいところを最大限に生かし、お客様の『個』を作り上げられればと考えています」。
(10月30日に続く)

人工ボディで明日を切り拓く(2)
http://www.womanlife.co.jp/topics/detail.html?k=1228

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