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アニマルハート

2011年11月14日

「家なき子」

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E・アンリ・マロ作

軍服を着て死ぬサル 切々と動物への思い

 19世紀フランスの作家マロの「家なき子」の主人公レミは、養親の元を離れ今は旅芸人ヴィタリス一座の子役です。一座の役者とはカピ、ドルス、ゼビリアというイヌ三匹とサルのジョリクール。カピはヴィタリスの信頼厚く一座のリーダー格。ジョリクールの役は将軍で、金モールのついた赤い軍服とズボンに、羽根のついた帽子をかぶり、ドジばかりふむ田舎者の従卒レミに怒ったり困ったり、という役どころ。
 一行は大吹雪の夜、泊まった小屋で狼に襲われドルス、ゼビリアが殺されます。寒さのためジョリクールは肺炎を起こし重態に陥る。役者不足の一座はまともな芝居が打てない、お金は乏しくパンをちぎって食いつなぎながらやっと町へ来た。
 レミが叩く呼び込みの太鼓、カピの元気のいい吠え声にジョリクールは芝居が始まることを知る。横たわっていたベッドからとびあがり自分も出ると取りすがって頼む。ヴィタリスは応じない。レミもカピも熱演するが、かき集めたお金は少なかった。うなだれて宿に戻ると、ジョリクールは赤い金モールのついた将軍の服とズボンをはいてベッドで冷たくなっていた…本編の筋書きからいえばサイド・ストーリーに当たるところをマロは切々と書き込んでいます。ヴィタリス老人の、家族に対するような滋味のあるイヌやサルへの向き合い方に、作者の動物観がよく現れています。

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