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2011年11月10日

「大震災から1ヶ月で復活」の理由

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ダイト薬品株式会社

宮城発・全国に向けて浄水器を通信販売「ダイト薬品株式会社」

 2月3日の弊紙・神戸中央シティ版のトップページにある浄水器の広告が掲載された。その商品の名前は「きよまろ」。毎分3.5Lという業界No1の大流量浄水で、「捨て水不要の殺菌セラミック」と「水流4段切り替え」という特許を得た画期的なコンパクト浄水器だ。
 発売元は「ダイト薬品株式会社」。その所在地は「宮城県仙台市若林区荒浜」―一斉に浜の松林をなぎ倒し、地面を這うように押し寄せる水の壁―幾度となくテレビで目にした津波の猛威がフラッシュバックする。震災から早7ヶ月、改めて当時のお話をお教えいただくことができた。

届かない現地の惨状、その中で日ごろの行動から見出した復活の道すじ

 いつものように忙しかった3月11日、午後2時46分、忘れ得ぬその時は来た。「下からドーンと突き上げるように大きく揺れましてね、すぐに停電しました。これはまずいな、と思いました」と同社の渡辺常務はあの日の地震を振り返る。「大きい揺れと共にほとんどの社員が外に出ました。気づいたら、社内には二人しかいませんでした。二回目の強い揺れで私もたまらず外に出ました。テレビも電話も遮断され、どういう状況かまったく分からない中で、「ただ、私には1978年の宮城県沖地震の記憶がありましたので、比較的冷静だったのかもしれません」といい、地震発生後から10分以内に、社員全員を帰宅させた。屋内に一人で戻った渡辺さんは、本棚が倒れガラスが粉々に飛び散った部屋で片付けをしようかとも思ったのですが、自宅も心配だったので、戸締りをして、諦めて車で、亀裂が走る道路を通り帰宅。それから40分後には、その道路がみるみる間に津波に飲み込まれた。
 渡辺さんが、地震発生から帰宅するまでの時間、30分。その短時間のうちの冷静な行動に驚いたが「違うんですよ、現地ではあの時点では、あんなことになるとは誰も思ってなかったと思いますね、特にお年寄りは。というのは、1978年の宮城県沖地震でも津波警報が出たにも拘らず、ほんの数十しか津波がこなかった。どうせ今回もそうだろうって。停電も災いして、正確な状況を把握しきれず、被害が広がったというのが実際でしたね」「私もはじめは、新入社員のワンセグでの大津波警報との情報を聞いても深刻には捉えておらず、めちゃくちゃになった部屋は明日みんなで片付ければいいや、と軽い気持ちで帰ったのです。今思えば、あの時一人で掃除していたら、私は今いませんでした」と渡辺さんは言う。津波の様子やタイムリーな被害状況は、むしろテレビの前の人達の方が知っていたのだ。それに、経験が却って足枷になったことを知る人は多くないかもしれない。現地の方の声を直接聞いて知る事実は、時間を経てなお、重い。

「データ」「絆」「信頼」目に見えないものだけが残ったから立ち直れた

 震災から4日後、自分の仕事場はと、若い社員3名と歩いて会社を目指した。捜索の関係者以外、立ち入り禁止になっていたが、警察官に何とか頼み込んで入れてもらい、やっとたどり着いた会社は跡形もなく、セメントの基礎だけが辛うじて所在を示していた。「呆然としました。自分の目で現実を見て、これから何をすべきかをはっきりと自覚しました。そして、何よりも幸運だったのは、社員やその家族全員が無事だったことです」と渡辺さんはやっと微笑んだ。また、社長の指示で顧客データのバックアップを毎月更新し、自宅にて厳重に保管していたことや、多くの顧客が東北以外にあったことも幸いした。
 渡辺さんは、震災直後から停電で信号が消えている中、自ら近場の取引先に出向いて、商材と備品の手配をお願いして回った。
何とかつながった携帯電話に、連絡をくれた、遠方の取引先は、優先的な商品供給と業務再開への全面的な協力を約束してくれた。そして、物流も回復し、商品もそろい始め、会社の電話がやっとつながった、4月11日、ダイト薬品は社員全員で再スタートを切った。
 パソコンも在庫品も事務所も、形あるものはすべて流された中で、残ったものは顧客データと、一致団結できる絆、それに会社の信頼というカタチのないものだけだった。「でも、逆にそれがあったからこそ立ち直れたんです。お客様と社員を大事にする社長の「行政に頼らず、自分たちでやるぞ!」という言葉についていこうとみんな決心し、震災から一週間後には、同じ若林区内に貸事務所を借り、多くの方々に支えられ励まされてここまで来れました」と渡辺さんは感慨深い。
 「阪神大震災を経験された関西からは、特に温かい言葉と励ましをいただきました、これからも「スピードが品質」をモットーに、物心両面から支えてくださった皆様の期待にお応えしていきたいと思います」。本当の復興は、まだこれからが本番。その先駆けとして立ち直った同社の高い志と感謝の気持ちに、こちらが元気をいただいた。

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