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スポーツ

2012年1月13日

最初で最後の挑戦でなぎなた世界一の栄誉を獲得

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貴島政英さん 清水真由美さん 
公益財団法人 修武館

悔しい思いを克服してつかんだ喜びを次世代の子どもたちに伝えたい

 大阪と神戸の間に位置し、清酒発祥の地といわれる兵庫県伊丹市は、古くから「なぎなた」が盛んに行われてきました。これは、この地で酒造業として450年以上の歴史をもつ小西家が、200年にわたり武道の三大私設道場のひとつである修武館の伝統を護り、地域の青少年と競技者の育成に力を注いできたからです。
 2011年7月には4年に一度開かれる「第5回世界なぎなた選手権大会」(兵庫県姫路市)が行われ、伊丹市出身の貴島政英(きじま・まさえ)さん(32歳・五段)と清水真由美(きよみず・まゆみ)さん(29歳・五段)が日本代表として初出場。二人一組で「形(かた)」の優劣を競う演技競技で優勝し、世界一に輝きました。

 貴島さんが、なぎなたという武道を初めて知ったのは、6歳のとき。修武館で剣道を習っていた兄に続いて剣道を始めようと道場を訪れた貴島さんの目に、なぎなたの稽古に打ち込む女性の姿が飛び込んできました。「今でも鮮明に覚えているのが、白い稽古着と紺のはかま姿が格好よくって。すぐに、なぎなたを習うことに決めました」(笑・貴島さん)
 小学校一年生からなぎなたを手にしている清水さんのきっかけは、「当時、隣に住んでいたお姉さん」。以来、20年以上にわたり厳しい稽古に耐えてきました。
 二人がペアを組んで3年。初の世界選手権大会を前に心技ともに充実し、「呼吸もばっちり合っていた」と口をそろえるほど絶好調でしたが、世界選手権大会直前の5月に行われた全日本大会で、まさかの一回戦負けを喫します。「大事なところで初歩的なミスが出た」と、言葉少なく敗因を語る清水さん。貴島さんも「調子が良かっただけに(敗退の)ショックは大きかった」と振り返りますが、世界の精鋭が集う大会を前に落ち込んでいる時間はありません。
 さらに二人が奮起した大きな理由が、もう一つありました。「若手の台頭もあり、世界選手権は今回がラストチャンス」(貴島さん)、「年齢的にも二人が組んで試合をするのは、これが最後」(清水さん)。背水の陣で猛稽古に励んだ結果、ペアとしての競技人生を最高のかたちで締めくくることができた二人。「厳しい稽古からひとまず解放されて、とにかくホッとした」と笑顔を浮かべますが、その瞳はすでに未来へと向けられています。

 市立伊丹高校の保健体育の教諭で、なぎなた部の顧問を務める貴島さんは、「修武館での稽古や部活動を通じて優れた選手を育てるとともに、礼儀を含めた人間教育にも力を入れていきたい」。全日本なぎなた連盟の事務局員である清水さんも「継続することが何より大切。特に子どもたちには、なぎなたが楽しいものであることをまず教えてあげたい」と話します。
 偉大な先輩に続けとばかり、修武館にきょうも響く元気いっぱいの子どもたちの声。道場には、その姿をときに厳しく、ときに温かく見守り続ける二人の姿があります。

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