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2012年1月1日

現代人にこそ必要なのが「お墓」です。

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打谷久義さん
打谷石材株式会社 代表取締役会長

194年の歴史と今日の世相に向き合い、本来あるべき人の心を説く「先祖学研究家」。

 午前8時50分、伺った「打谷石材」の店内では、日本はもとより、世界各国の切手と、旅先の風景が偲ばれる絵葉書が、壁一面に所狭しと掲げられていた。ちょうど16回目の「庶芸展・懐かしの切手と旅の良き思い出」が開催されているところだった。
 しばらくすると「いらっしゃい、まぁ腰かけて、まず一杯!」と、同店会長の打谷久義さんが来られた。店内の作品群にも圧倒されていたが、打谷さんの腹の底から響く声に、鼓膜が震えるのが分かった。着席すると、自ら挽いたコーヒーを淹れてくださった。本当に旨い。

 創業文政2年、今年で194年を数える老舗石材店の会長という肩書と並び「先祖学研究家」とある打谷さん。地元ラジオやテレビ、新聞などにもたびたび出演され、日本全国に及ぶ今までの講演は3900回にも上るという「名物石材人」である。先の「庶芸展」も、私的市民講座「心の栄養塾」の活動の一つだ。
 口コミと紹介とリピート、それが同店の顧客の特徴で、誰もが「やっぱり他とは何か違う。有難い。ここで建てて本当に良かった!」と言われるという。
この評価の秘密は何だろうか。打谷さんとは一体どんな人なのだろうか。

何のためにお墓があるのか。正しい知識があれば、誰でもその意味が分かります。

 お墓と言われても、まだ縁遠いと思っている若者が、当然ながらほとんどだ。でも、お盆やお正月などの行事や法事など、事あるごとに合掌する機会は、若者にもある。中には、仏壇に戴き物を供える人や、亡き人の命日などに、墓前に立つ人もいるだろう。しかし、「あなたは、お仏壇とお墓、その前で何を思って手を合わせますか」の問いに、思わず口をつぐんでしまった。なぜなら、まず「○○になるようにお願いします」と、自分の願い事ばかりを必死に思っていた(恥ずかしながら当たっている)ことを、まるで見透かされているようだったからだ。

 「お仏壇の中央にいらっしゃるのは「ご本尊」、それぞれが信じる仏さんですな。仏さんには「毎日無事健康で生かしてくださり、ありがとうございます」と感謝の気持ちで手を合わす。朝(あした)に礼拝、夕べに感謝、そのものであります。それに対して、お墓は「亡くなった方」、ご先祖様が安住なさっているところ。私の「今日の有るを創ってくださったお方様の魂が再び甦ることを祈って手を合わす、そういう処なのです」ちなみに、ここで言う「神さん・仏様」は神道や仏教を、必ずしも指しているわけではない。
 「そして、生き仏である私たち人間は、お墓にて亡き人に手を合わせ、「供養」するは当然の事、それに更に加えて、「功徳」を積んでいかねばなりません。」供養…功徳…その意味は?
 「供養とは、ご先祖様へお供え申し上げることによって、合せて自分を養い育てること。「功徳」とは、その日その瞬間を、世のため人のために一生懸命生きて「徳力の貯金」をすること。その積み重ねによって、生者も後々の子孫にもその貯えられた徳力が、どこかで何かに還元されているのである。お墓とは、供養することによって功徳積みがなされ、それが子孫に、幸せとなって還元されていく、親やご先祖様の安住地であるとご理解下さい」
 お仏壇とお墓の違いもよく分かっていなかったことを反省しながらも、打谷さんの分かりやすい話に、素直に納得した。淀みない語り口は、ただ流暢というのではなく、力強く温かだ。
 いつしか話に聞き入っていた自分が、顧客の気持ちと同化する。そうか、打谷さんは、努力と励ましの人なのだ。

「2012年は、3割増しの努力・知恵と謙虚さをもって、ともに明るく元気に突き進もう!」

 2011年の、本当に忘れられない東日本大震災に、日本の行く末に、子孫の将来に、人々は相当な不安を抱いているように思う。打谷さんに、新年の抱負を伺った。
 「今までと変わらず、「三感王(感心・感激・感謝)に通じる仕事」で、お客様のニーズに十分にお応えすべく、技術的にも最高位の仕事と言っていただけるよう石の価値を磨き上げていくことに更に邁進して行こうと思っています」 
そしてもう一つ。
 「いつまでもあると思ってもいけないのが親と金。そして無いと思ってはいけないのが運と災難。これからは、本当に日々の心がけが重要になってきます。たとえば、ホテルに泊まる時には非常口をまず確認する、そんなことの積み重ねです」と。
さらに、こんなことも。
 「時代は大きく変わった、今までとは質も量もサービスも違う、3割増しの努力・知恵・謙虚さ、これが必要です。そして、ともに明るく、元気に、希望に満ちて! これが2012年、私たちが目指すキーワードです」
 「天災は忘れた頃にやってくる」と言った寺田寅彦が、どこかで述べていたことを思い出した。不安に対する策は、常に一歩先を丁寧に読んで勉強し、自ら動くことだという。打谷さんは、徹底したリアリストであり預言する人だ。


 9時50分、インタビューが終了した。打谷さんを色々掘り下げていこうと思って臨んだが、逆に自分の心をどんどん開かれていったように思い、少し脱力した。
 そんな筆者を横にし、打谷さんは、店内の庶芸展の切手と絵葉書を見回しながら「これらは、つい見逃したり見向きもしなかったら、もう誰の記憶にも残らずそのまま消える運命のもの。でもこうやって、もう一度魂を吹き込んで再生する、そしたらどうだ、途端にイキイキと生き返り、私たちに色々なことを教えてくれるじゃないか!だから私は、他人が何と言おうとも、廃品を集めてしまうんですよ(笑)」
 次回は、世の中と人々の幸せを願う「袱紗絵展」を企画しているという。なるほど、打谷さんは、まことに慈悲の人であった。
 捨て難い、ほおってはおけない熱きオーラを感得した次第。

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