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2012年2月2日

ネパールと日本“おもてなし”のかけ橋に

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パルカス・アチアリアさん(35歳)
神戸メリケンパークオリエンタルホテル 宿泊部ゲストリレーション課 ゲストリレーションズオフィサー

最も心に残るミナト・神戸のホテルで天職に巡り会えた喜び

 黄昏どきの神戸港。2003年10月、ネパールから留学生として初来日したパルカス・アチアリアさんの目は、夕日を浴びて波止場にたたずむ建物に吸い寄せられていました。
 寄せては返す波頭のような、夕焼け空になだらかな曲線を描く神戸メリケンパークオリエンタルホテル。生まれて初めて目にする広大な海と、残照に染まる建物が織りなす風景は、パルカスさんの胸に強烈な印象を残しました。
 カトマンズの大学で経営学を専攻し、大学院でMBA(経営学修士)を取得したパルカスさんは、先に小児科医として研究のため来日していた兄を頼り、神戸で暮らし始めます。来日当時は日本語をほとんど話せなかったパルカスさんですが、何より驚いたのは日本人の「おもてなしの心」でした。
 「来日して間もないころ、電車に乗ろうとしていたときのことです」。パルカスさんを電車まで案内してくれた見ず知らずの人は、発車のベルが鳴り、車両が動き出すまで笑顔で見送ってくれたそうです。
 当時アルバイトしていたインドレストランでも心のこもった接客サービスに感激したパルカスさんは、次第に日本流のホスピタリティーについて学びたいと考えるようになりました。

 転機が訪れたのは、05年。兄がネパールに帰国することになり、パルカスさんは経済的な自立を目指して専門学校のホテル学科に進学します。そこで行われたホテル実習で、パルカスさんは来日直後目にして以来、ずっと心に残っていた神戸メリケンパークオリエンタルホテルを実習先に選びます。
 憧れのホテルでの実習に、持ち前のホスピタリティー(手厚いもてなし)が遺憾なく発揮されます。ホテルの利用客を対象にしたアンケートには、心のこもった対応に感謝と喜びの声が数多く記され、実習後はアルバイトとして勤務し続けることになりました。
 07年5月には神戸メリケンパークオリエンタルホテルがパルカスさんを、同ホテルでは初めて新卒の外国人正社員として採用することが決まります。「まさか自分が日本に来て感激したホテルで、正社員として働くことができるとは」。喜びと感激で胸いっぱいだった当時をパルカスさんは笑顔で振り返ります。
 ホテルでの業務は、ロビーでのお客様の送迎や部屋への案内・観光案内・さまざまなリクエストへの対応など、多岐にわたります。なかでもパルカスさんは、「チェックアウト後、お客様をお見送りするときに特に気を配っている」と話します。「ホテルに滞在中、どんなに快適に過ごしていただいても、ホテルをご出発されるまでがお客様にとっての思い出。笑顔でお見送りして『このホテルを選んで良かった』『また来てみたい』と思っていただけることが大切です」
 10年度に改定された社内表彰制度では、接客部門のスタッフに贈られる「エクセレントスタッフ賞」を受賞したパルカスさん。「いつかネパールに帰国してもホテルでの経験を活かし、日本と関わりのある仕事をずっと続けていきたい」と話すパルカスさんの夢は、母国でのホテル経営です。
 「小さなホテルでもいいから日本流のおもてなしをネパールに伝えたい」。そして日本流のおもてなしを受けられるホテルがネパールにもあることを日本の人たちが知って、「たくさんの人がネパールを訪れてほしい」と目を輝かせます。
 来日して初めて心を奪われた、神戸メリケンパークオリエンタルホテル。そこで出会った数知れない笑顔の輪をネパールでも広げたい。遙かな空の下で結ばれている両国への想いを胸に、きょうもパルカスさんはにこやかにお客様と接しています。

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