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シネマ365日

2012年2月20日

記憶の棘 (2004年 ミステリー映画)

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監督 ジョナサン・グレイザー
出演 ニコール・キッドマン/ダニー・ヒューストン/ローレン・バコール

ぐいぐい押す 真摯な輪廻転生観

 最愛の夫が急死して10年、やっと心の整理もついたアナ(N・キッドマン)は、自分を待ってくれていた誠実なジョゼフ(D・ヒューストン)と再婚することにした。母親エレノア(R・バコール)の誕生会を祝っていると10歳の少年が現れ、アナに「君は僕の妻だ。僕はショーンだ」と告げる
▼ここでこの映画の核心は輪廻転生にある、信じる・信じないは観客次第とハッキリ腹に納めましょう。でないとガキ一人に振り回される。てっきりアナはそうなっちゃって、少年を風呂にいれながら「この町を出て二人で暮らしましょう。10年たったらあなたは21歳、結婚できるわ」なんて言い出すのである。おい、待てよ、早まるなよ、と観客は思わず腰を浮かすだろう
▼死んだショーンの情事の証拠が出てきたり、少年が「僕はショーンじゃない」とガラリ打って変わって弱気になり身を引くと言ったり、生まれ変わりだ、いや子供の妄想だ、と情報が交錯する。転生だという証拠もなければ妄想だときめつけるには具体的すぎる、と結論はでない(当然ですが)
▼ローレン・バコールが貫禄で登場しています。シーンは少ないが娘にとって大事な台詞をいう。「わたし、ショーンは嫌いだったわ」母親のカンは娘婿の不実さを感知していたとしか思えない。疲れきったアナはもう死んだ男はどうでもいいわ「ジョゼフ、あなたとやり直すわ」「わかった」でめでたく結婚式をあげるが、花嫁はウェディングドレスのまま海へ入水、ジョゼフが走ってきて抱き上げ、やれやれ「ホッ」でエンドです
▼物語としては決め手がないのにグイグイ押してくる力は…ちょっと脚本をみてみよう。ジャン・クロード・カリエールとミロ・アディカ。このあたりですね。カリエールはフランス映画界の生き字引であり最高の脚本家の一人です。「昼顔」「ブリキの太鼓」「小間使いの日記」「ビバ マリア」「存在の耐えられない軽さ」化物みたいな映画の権化だ。ミロ・アディカは「チョコレート」
▼この二人なら、どんな突拍子もない物語にも落とし所をつくるだろう。カリエールは仏教と東洋思想に深い造詣がありインドの映画も撮っている。彼の輪廻転生観は付け焼刃ではない。真摯な脚本からは気合のはいった演技が生まれる。悪女のうまいキッドマンだけど、ちょっと頼りない良家のお嬢さんを意外と好演しています。

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