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アラン・ドロン特集

2012年2月23日

アラン・ドロン特集3 さらば友よ(1968年 社会派・アクション映画)

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監督 ジャン・ヴォートマン
出演 アラン・ドロン/チャールズ・ブロンソン

ひとり友達がいた

 アラン・ドロンは来日して「スマップ&スマップ」に出演し、自作の好きな5本をあげている。「太陽がいっぱい」「山猫」「高校教師」「暗黒街の二人」「サムライ」。つまりこのシリーズで取り上げた「冒険者たち」も外しているのよ。どっちも自分が食われてしまった映画、しかも他の出演作をおしのける傑作でしょう。面白くないのよ。食った本人のC・ブロンソンは本作でブレークしてから44年も書きつがれ「今さら」なのだけど、この映画を抜くと、はっきりいってドロンのキャリアは軽くなる
▼ナイジェリアからの帰還兵が下船を前に荷造りしている。アラン・ドロンの手荷物に拳銃がある。ブロンソンは一目みて気にいる。ほしくて仕方ない。男のこどもっぽさが、ブロンソンによく合っていてどことなく憎めない、そんなキャラでスタートする
▼マルセーユ港に帰還兵が虫の群れのように吐き出されてくる。戦争に行って影を背負った男たちの重さがずっしりくる。女が兵隊の群れをかきわけ、ドロンにモーツアルトという軍医を知らないかと尋ねる。にべもなく「知らん」ところが「ハハーン」こいつは訳ありだとピンとくるのがブロンソン。儲け話だ、と思い込みドロンにまとわりつく
▼几帳面な文体で前段を書き上げた監督は、一挙に飛躍するようなバカな真似をしない。女もからむが、女嫌いの監督がよくやる「女優はオール付け足し」でないところもバランスがとれている。「禁じられた遊び」の女の子がドロン相手に迫るのですよ、ほんに、まあ
▼クリスマスの休暇が終わるまで地下の金庫室に閉じ込められ、やっと開けた金庫の中身は空手形。おまけに殺人罪までなすりつけられた、逃げるが勝ちだ、2人だと10年はくらいこむ、お前は知らないことにしろ、いいか、とドロン。貴様どうもやばい立場になったらしいな…ブロンソンは簡単に諾する。男は芝居かかった約束はしないのだ。ドロンはドロンで、蔑んでさえいたブロンソンのことを「ひとり友達がいた」と女につぶやく
▼警察に締め上げられたブロンソンは、いやらしいことの好きな金持ちをじつは痛めつけたのだ、とネタを提供して苦境を脱するが、その金持ちが面通しにきて「こいつにまちがいない」と証言する。そのときブロンソンがひげをそりながら女の子の声音で「パパ大好き。パパ大好き」この味はドロンにはない
▼そのかわり、といっちゃ何だが、カチッとライターをつけたときのドロンはどうだ。さりげなく、でも指先まで神経の行き届いた手つき、冷たい視線。ここはドロンの横顔でないとおさまらないよ。大いに食われたけどいいってことよ。映画史上に残るラストだぜ、イエーッ!

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