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アラン・ドロン特集

2012年2月24日

アラン・ドロン特集4 あの胸にもう一度(1968年 恋愛映画)

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監督 ジャック・カーディフ
出演 アラン・ドロン/マリアンヌ・フェイスフル

ナルシシズムの手引き

 1957年の「女が事件にからむとき」から1998年の「ハーフ・ア・チャンス」つまりアラン・ドロンは22歳から63歳までに、ざっと59本の映画に主演している。なかには駄作も失敗作もあって、本作もその仲間入りかと思う
▼それはそうとして、でも本作にはアラン・ドロンのナルシシズムの手引のようなものがよく現れている。主人公ダニエル(A・ドロン)は「女は愛さない。結婚はしない」と公言する。彼の虜になった10代の愛人レベッカ(M・フェイスフル)は、結婚三ヶ月で夫を捨て、オートバイを駆って未明のハイデルベルグへまっしぐら。ダニエルはつまり、女を狂わせる魅力のかたまりという設定だ。アラン・ドロンの気にいらないはずはないね
▼名作「アルト・ハイデルベルグ」の舞台、ドイツの古都ハイデルベルグ大学の教授なのだ、ダニエルは。大学教授がドロンの柄か、なんて失笑せず先に進もう。回想の二人のラブシーンが手を変え、品をかえ、スクリーンに映る。アラン・ドロンは陶然とヌードになって、真紅のバラの花びらが音もなく胸に降りかかる。つまり男は昂然と、女が追いかけてきて仕方ないから、相手をしてやるという図
▼レベッカはバイクを走らせながらあえぐように唇を開き、肉色の舌をみせたりする。危ないぞ、しっかり前をみて運転しろ、案の定…しかしここはフロイトの解釈ならずとも、性器が口をあけたような映像が繰り返し登場し辟易する。ジャック・カーディフはサイレント時代から、半世紀に及ぶ映画の功績を認められた監督なのに、本作ばかりは悪趣味に走ったとしか思えない
▼陰と陽にわけるならアラン・ドロンは陰だろう。それが背徳、渇望、犯罪、裏切り、孤独に呼応してきた。しかし本作では金にあかせて愛人にバイクを贈る大学教授、女は振り払っても、振り払っても寄ってくる、大学の講義はちんぷんかんぷんなことを披瀝しながら学生には人気がある、こんな「陽」キャラはハリウッドに任せろと、だれも忠告してやらなかったのだろうか
▼しかし失敗は認めなければ失敗ではないと信じるのがアラン・ドロンだ。4年後の「ショック療法」ではまたしても、スッポンポンでおばさんたちの輪に走りこむ精神科医という、破天荒な役をやってのける。彼の自惚れにつける薬はこの世にない。そのばからしい映画? 見に行きましたけど。

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