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アラン・ドロン特集

2012年2月25日

アラン・ドロン特集5 仁 義(1970年 暗黒街映画)

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監督 ジャン・ピエール・メルヴィル
出演 アラン・ドロン/ジャン・マリア・ボロンテ/イヴ・モンタン/ブールヴィル

メルヴィルの「男の道行」

 メルヴィル・スタイルというのがある。まずメルヴィル・ブルー。スクリーンの色調が薄明の、あるいは蒼い闇のブルーで統一、全体に寒色系である。ハリウッドの強い影響下にある(ウィリアム・ワイラーとか戦前のハリウッド映画)。味方にせよ、ライバルにせよ、男同士が強い絆で結ばれる。雨・風・列車が好き。主たる登場人物はトレンチコート、帽子(ハット)を愛用し、ナイトクラブはジャズを演奏し、アメ車を走らせる。撮影はほとんどがアンリ・ドカエ
▼男の美学とロマンに酔う、のがメルヴィル映画だそうです。女優はチョイ役か、本作のように登場しないかどっちかです。「リスボン特急」でカトリーヌ・ドヌーブとアラン・ドロンが共演したものの折角のドヌーブが、きれいな顔をスクリーンに映しているだけで、見せ場はまったくありませんでした
▼「仁義」はどうか。筋書きはありきたりだけど、メルヴィル・スタイルという点では極めつけですね。主人公の一人ボロンテが移送中の列車から脱走するのは夜明け(メルヴィルがいう、夜が息をひそめる時)ですし、トレンチコートのアラン・ドロン、中折れソフト帽のイヴ・モンタンは元警官で今はアル中の幻覚症状に悩んでいる。刑務所から出所したばかりのドロンが宝石強盗を目論見、脱走犯と元警官が加わる。逃走車はアメ車。めぐり合うべき男たちがめぐり合い、運命をともにする男の道行です
▼モンタンは射撃の名手だ。ボロアパートで蛇・トカゲ・ヤモリの妄想に脂汗をかいていた無精髭の中年男が、仕事となったとたん一分の隙もないいでたちで登場する。彼の仕事は針の穴のような防犯ベルを射抜き、センサーを解除することだ。まるでゴルゴ13である。アラン・ドロンとボロンテはお互いの窮地を救ったり、救われたり、しているうちに相手を信頼するようになる。なりゆきまかせのようでいて、さりげなく気持ちの通じ合いを観客にわからせる、そこがこの監督なのです。たとえばドロンが初対面でポンとジタン(タバコ)を、つぎにライターをボロンテに投げるときなんか
▼宝石強盗は成功するが主人公3人はあっけなく射殺される、というこのうえなくザックリした筋書きなのに、出演者たち、それもぜんぜん表情を変えず、ろくに喋りもしない彼らがひっぱっていくのはなぜ? 映画にきいてくれ。

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