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アラン・ドロン特集

2012年2月26日

アラン・ドロン特集6 帰らざる夜明け(1971年 社会派恋愛映画)

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監督 ピエール・グラニエ・ドフェール
出演 アラン・ドロン/シモーヌ・シニョレ

フランス映画の面目

 この映画はドフェール監督の掌中にある。アラン・ドロンもシモーヌもとてもいい表情が引き出されている。たぶん、ドフェール監督はシモーヌとか、ジャンヌ・モローとか、フランス映画界の超ウルサ型女優の信頼を得ていたからだろう。モローは本作の3年後に同監督とアラン・ドロンで「個人生活」を、2年後にシモーヌは再びドロンと「燃えつきた納屋」を撮る。二人の大女優を結びつける共通項はアラン・ドロン。当時のドロンを考えれば共演を断る女優はいなかった…そんな絶頂期だった
▼孵卵器をバスから降ろすのを手伝ったことでジャン(A・ドロン)は、未亡人クーデルク(S・シニョレ)の家に農作業のため住みこむことに。クーデルクは14歳のとき下働きをしていた同家の主人と息子に犯され、嫁となり、夫は死亡、舅は耳もきこえずヨレヨレになった今もクーデルクに関係をせがむ。彼女がつれなくなったのはジャンがきたからだと嫉妬した義父は、近くに住む実娘にジャンはお尋ね者だと訴える。クーデルクを追い出して家を横取りしたい娘夫婦は警察へ
▼クーデルクとジャンは周囲から孤絶したさびしさをわかちあい、いつしか寄り添う。でもジャンは若いクーデルクの姪に手をだすのだ。クーデルクは「出て行って」「出ていく」その前にジャンは孵卵器を修理すると言う。孵卵器が映画の大事な小道具になる
▼孵卵器は稼働した。これで卵を孵し、一ついくらで売れるぞ、いくつ孵したらいくらになって、運河を買い占め、あいつらこそ追い出せるぞ、二人はだきあって跳んではねる。夜明けがくる。眠るジャンの顔をクーデルクが眺めている。このときのシモーヌのたたずまいがいい。「だれにもわからない気持ちね」とシモーヌがいい「だれにもわからないな」とアラン・ドロンが答える。すぐそこにきている別れと死の静けさに観客の胸がふさがる
▼投降を拒否したジャンに一斉射撃が始まる。ジャンはクーデルクに逃げろというが彼女は動かない。動かない演技をさせてシモーヌの右にでる女優はいない。流れ弾が孵卵器の灯油に引火し火がでる。孵卵器を壊すわけにはいかない、あれがクーデルクの夢を叶えるのだ。ジャンは「おれが出ていく」叫んでクーデルクを見つめ、ふっと笑う。シモーヌが受ける。ぐぐぐ(いい映画だな)と観客はスッポリ監督の掌中に。淀川長治は本作をこう評している。「これによってフランス映画は面目を発揮した」

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