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アラン・ドロン特集

2012年2月27日

アラン・ドロン特集7 個人生活(1974年 恋愛映画)

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監督 ピエール・グラニエ・ドフェール
出演 アラン・ドロン/シドニー・ローム/ジャンヌ・モロー

監督の黒い微笑

 「帰らざる夜明け」でアラン・ドロンの新局面をひきだしたドフェール監督が、その3年後、なんでこんな映画、撮ったのだろう。長年よくわからなかったのよね
▼主人公ジュリアン(A・ドロン)は幼いときから炭鉱で働き、苦労して頭角を現し、前党首にみこまれて後継者となったフラン政界の野党の党首。美しく知的な妻がいながらクリージー(S・ローム)という売り出しのトップモデルと公然の仲になり、政治生命を左右する重大なポスト争いのときに、寸秒を惜しんで女に電話をかけている
▼なんぞ困ったら前党首の妻、政界の黒幕であるルネ(J・モロー)に泣きつく。ルネはクリージーと別れることを条件にジュリアンを助ける。ジュリアンはルネにクリージーを「死ぬほど愛しているのです」と思いつめたように打ち明ける。ルネはあいた口がふさがらない。夫が見込み、自分も可愛がってきた男が「ンまあ」である
▼クルージーはジュリアンが多忙で相手にしてくれないとふくれ、友人同士のパーティーでは身分を隠していたいジュリアンをうれしそうに紹介し、男がいうことをきいてくれないと行方をくらまして心配させ、さんざん悩ませるのだがジュリアンは「ぼくが悪かった、謝る、離婚する、結婚しよう」と言う。もはやうわごとである
▼映画がきれいに仕上がっているから気がつきにくいけど、ドフェール監督って、ほんと、一筋縄でいかないのよねー。「帰らざる夜明け」で「とことんいいカッコさせたから、今度はその逆をやってもらうよ」とでもアラン・ドロンに因果を含めたのだろうか。フランス政界の花形、時代の寵児、閣僚入りして重要ポストを手にする。こういう観客へのめくらましをふんだんに取り入れておいて、しかし監督が露呈させていくのは、仕事をそっちのけ、優先順位の見分けもつかず秘書は愛想を尽かし、重要なミーティングに平気で遅刻し、恩返しの義理もはたさない、というドロップアウト一歩手前のダメ男なのだ
▼きつい監督だなあ。そのへんを承知でオファを受けたアラン・ドロンもいい度胸だし、ジャンヌ・モローなんか劇中「やれやれ、あんな男には見切りをつけた」とばかりにさっさと寝てしまう。映画は、はかないエンディングシーンで終わるが、よくみるとそのはかなさの隙間から、監督の黒い微笑が覗いている。

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