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アラン・ドロン特集

2012年2月29日

アラン・ドロン特集9 ヌーヴェルヴァーグ(1990年 不条理映画)

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監督 ジャン・リュック・ゴダール
出演 アラン・ドロン

同世代人3人

 DVDの解説によれば本作は「再生の寓話」なんですが…。筋書きを追うと、こういうことになります。エレナはいくつもの会社を傘下に入れた財閥のトップ。会社ではバリバリ仕事をして世界各国の子会社やら支社やらに、テキパキ指示を出す。もちろん家は大邸宅、庭の手入れをするおじさん、おばさんやら召使やら、秘書やらがいっぱい歩いていて、広い庭園と車、お屋敷内いたるところの掃除、片付け、もろもろの運営に余念がない。ある日エレナが車で出発、男をはねた。ホームレスのロジェ(アラン・ドロン)なのだ。このシーンで二人がお互いの指をからめるアップが意味ありげに映る。ロジェは邸内に居着く
▼ギョッ。この屋敷では庭そうじをしながらおじさんがダンテを口ずさむ。ロジェは目的もないのに深い思索があるように一日中、あっちこっちをうつむいて猫背で頼りなさそうに散策する。ぶつぶつ言っている。エレナはロジェを会社に連れていき、幹部にも紹介する。いいのか、そんなことして
▼エレナはロジェと二人きりでボートで湖に出る。エレナはいっしょに泳ごうというがロジェは泳げないと断る。エレナはしつこく勧誘しロジェの手をつかんだと思うや、湖に引きずりこむ。エレナはボートに上がり、もがくロジェを冷たく眺めロジェは溺れる。一年後ロジェにそっくりなリシャール(ドロン二役)が屋敷に現れる
▼ロジェとちがってやり手である。アラン・ドロン颯爽、である。エレナはリシャールに惹かれ経営に参画させる。ある日ふたりはボートで湖に出る。リシャールはいきなりエレナを水に突き落とす。助けて「泳げないのよ」と救いを求める。泳げたはずでしょう??? と思うまもなくエレナは沈んでいく。あわや一巻の終わりか。でもスクリーンにはガシッとエレナの手首を握るドロンの手が映る
▼こういう数字があります。1935年・1930年・1930年。順番にアラン・ドロン、ゴダール、クリント・イーストウッドの生年です。彼らは同世代だ。再生といえばクリントの「ヒア アフター」も再生の物語だった。3人とも70歳、80歳を超えれば魂には来世があり人間は再生するのだ、と思いに達した気持ちはわかるが、それにしてもこの二作の作風の違い。本作は観念的すぎてその気になれません。映画が肉体を持っていない。いくら寓話でもそれだけは必要でしょう。

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