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2012年2月8日

兄妹3人+嫁さんで、奈良の町家の暮らしを提案

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奈良町宿 紀寺の家(奈良市紀寺町)

町家育ちの兄妹「町家の良さを知ってほしい」と一戸貸しの宿

「町家の魅力を伝えるには住むことが一番。「住む」という体験をしてもらうことで町家の良さを伝えたいのです」。昨年10月に奈良町にオープンした町家の一戸貸しの宿泊施設「奈良町宿 紀寺の家」の代表、藤岡俊平さんは、2人の妹と妻の4人で宿を始めたきっかけをこう話します。

奈良町は近鉄奈良駅の南東に広がる江戸時代からの町家が数多く残る一帯。兄妹3人も宿のすぐ近くで生まれ育ちました。長男の俊平さんは大学の建築学科を卒業して東京の工務店に勤務した後、奈良に戻り、父親の建築設計事務所で古民家再生などに携わっていました。そこで昔ながらの町家が暗い、冬が寒い、住みにくいなどの理由で解体されていくのを目の当たりにし、少し手を加えれば住みやすく、新築では味わえない趣のある家になるのに勿体ないと心を痛めていたそうです。

ある時、建て替えの話が持ち上がった町家の一角を建築家の父が「町家の良さを再認識してもらえるショールームのようなものとして残せないか」と模索している事を知り、話を聞くうちに「町家の良さを知ってもらうには、暮らしを体験してもらうのが一番」という思いに至り、一戸貸しの宿として再生することになったのです。

和室から、キッチン越しにベットルームを望む

思いがけず、宿屋を始める事になりましたが、兄妹や妻がその思いに賛同し、次々とメンバーに加わっていきました。同じく建築学科を卒業し現代建築の設計に携わっていた長女、大学時代、奈良の学生ボランティアガイドとして活躍したのちホテルに勤めていた妹、管理栄養士の資格をもち自然派食品店の商品開発にも関わった経歴がある妻。

身内同士「遠慮がないので意見がぶつかるということもしょっちゅう」だが、仲の良い兄妹。「私たちの育った町家も襖や障子で仕切られた平屋建ての建物でした。思春期の頃は2階建ての新築に憧れを抱いていましたが、今思えば、そんな住環境が家族の絆を強くしたのかもしれません」と今も妻と1歳になる長女と町家に暮らします。

奈良町宿の路地にて

土間にベッドなど、若い目線で町家の暮らしを提案

20年間空き家だった3戸の町家は父がこれまで培ってきた技術や感性により、美しく改修され、それぞれ「通り庭の町家」「前庭の町家」「縁側の町家」と名付けました。しかし、接客や宿の経営は初めて。「最初はどうなることかと思いましたが、町家で生まれ育った私たち兄妹は、居心地の良い暮らし方も足りないところを補う工夫の仕方もいつのまにか身に付いていました。私たちの目線で町家の楽しむ暮らし方を提案しようと決めました」伝統的な町家に床暖房や坪庭を望むガラス張りのお風呂、キッチンなどを配し、土間にベットをおくなど今の暮らしに合った豊かで快適な空間を創りだしました。

料理は妻の希(のぞみ)さんが担当。近くの畑で野菜や米を自家栽培するほど食材にもこだわり、奈良の野菜を中心とした体にやさしい料理を提供しています。
オープンから3か月がたち、お客様の反応は上々だといいます。奈良公園や東大寺などの観光地も近くにありますが、あまりこの町家から外出されない方も多いといいます。
兄妹+嫁さんの4人の想いが詰まった、出来たばかりの奈良の町宿は、格子越しに明るい光が差し込み、風が心地よく通り抜ける、とにかく居心地のよい町家です。

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