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シネマ365日

2012年3月1日

「旅立ちと出発の映画」特集1 スタンド・バイ・ミー(1986年 青春映画)

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監督 ロブ・ライナー
出演 文中に含む

あの時みな少年だった 

 ノスタルジアに満ちている。登場人物である12歳の4人の少年たちのやること・なすことにほとんどの大人が思い当たる。そうだ、自分の場合はこうだったと。ホラーのスティーブン・キングの非ホラー系短編「死体」の映画化。彼の非ホラー系で有名なのに「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」がありました▼日常に潜むかすかな不安、理由はわからないがなにかあると感じる心理的なギャップ、そういった姿のない影がふくらんで自分を飲み込んでいく。彼のホラーの根幹にあるイメージという魔は「スタンド・バイ・ミー」ではしかし、少年たちがかかえる家庭的なコンプレックスという形で、思春期独特の連帯感を形成させています▼ゴードン(ウィル・ウィントン)は兄が事故死した。文章の才能があるが、フットボールの花形だった兄に比べ「金にならない」と父母から冷遇される。クリスは成績のいい少年だがアル中の父と不良の兄がいる貧しい家庭で進学をあきらめている。ゴードンの才能を認め「パパが君を守ってくれないならオレが守ってやる」とやさしく励ます。バーンは太め体型で何をしても最後になるグズ。不良グループの兄たちの情報から「死体さがし」を提案する。セオドアは父がノルマンディーの戦士。今は精神を病んで病院に。父から虐待を受けながら父を尊敬し誇りとしている▼数日行方不明になっている少年が30キロ先の森の奥で死体となって野晒しになっているらしい。それをみつけたら英雄だ、テレビにも出る、と少年たちは勇躍探索の旅にでる。人口1200人の田舎の町に育った彼らにとっては大決断だ。線路をたどり汽車にひかれかけ、森で野宿し、川を渡りヒルに吸い付かれながら空腹をかかえて歩く▼丘からみるなだらかな野原、森の静寂、豊かな自然の原風景。死体をはさんで不良グループと銃を手に対決した。たった二泊だが生まれて初めて冒険の旅を終え、家にもどった少年たちに、今までの町はいっぺんに小さく感じられた。「ぼくはこの町で一生すごすのだろうか」というクリスの独り言は、12歳の少年がすでに絶望を知ったことを観客に伝えてせつない▼クリスを演じたのがリバー・フェニックスである。「マイ・プライベート・アイダホ」でキアヌと共演し、ベネティア国際映画際の主演男優賞。将来を嘱望されながら23歳、ヘロインとコカインの過剰摂取のため心不全で死亡。くしくも「あのときいっしょにいた友達は、のちの人生で二度とつくれない」という、大人になったゴードン(リチャード・ドレイファス)の回想で「スタンド・バイ・ミー」は終わっています。

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