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シネマ365日

2012年3月4日

「旅立ちと出発の映画」特集4 オルランド(1992年 文芸映画)

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監督 サリー・ポッター
出演 ティルダ・スウィントン

陽気なオルランド 

 再生ファンタジー映画といったほうがいいかもしれない。ヴァージニア・ウルフの天馬空を駆ける想像力が「オーランドー」という幻想的な物語をつくりだした。それを原案に女性監督サリー・ポッターが力強い映像に構成した。付け加えるなら「オルランド」には「文学の形式をとった歴史上もっとも長く、もっとも魅力的なラブレター」という背景がある▼ウルフは女性ゆえに由緒ある男爵家を相続できなかった女友達、ヴィタ・サックヴィル・ウェストに想を得「オーランドー」を書いてヴィタを慰めたといわれるのがそれ。ヴィタの屋敷はエリザベス1世から与えられた豪壮な邸宅だ。主人公である貴族の美青年オルランドも、エリザベス1世から広大な屋敷と永遠の若さと命を保つ使命を与えられる▼ウルフは性をも自由に超越しようとする若者たちの集団「ブルームズベリー」の中心だったし、男女の境界はいとも簡単に当時の男女差別につながっていた。「私だけの部屋」でウルフはいかに女性であることだけで、能力の発現を妨げられているかを鋭く指摘している。こういう文学史的背景とは無関係に、しかし「オルランド」は無類の秀作だ。ポッター監督はまるでウルフが撮影の現場に立ち会っているかのように、気合をいれて作っている▼オルランドは美貌の青年貴族とはいえ、決してスーパーヒーローではなく、恋人にはあえなく振られ、失恋から立ち直ろうと詩作すると、その詩はケチョンケチョンにくさされ、がっくりきて都落ちしてしまう。そうなのだ、オルランドに対する監督の視線がまったく陽気なのだ。あげく女に変身したら風来坊と恋におち、甘美な一夜で妊娠するや、第一次世界大戦(なんと彼が生まれてから400年、新生と再生の旅立ちを閲するのだ)のさなか、大きなお腹をかかえてにげまどうシーンは、おもわず応援したくなる▼「オルランド」が成功した理由のもう一つは主演のティルダ・スウィントンだろう。180センチの長身に冷たくととのった妖しいまでの美貌、女王役ならピッタリともしあなたが思ったならズバリ正解、ナルニア国物語第一章「アスランと白い魔女」のあの魔女さまなのですよーン▼長い眠りから覚めたオルランドは女性に生まれ変わった全身を鏡に写し(オールヌードです)うそぶく「わたしはいつも同じ人間。性が変わっただけだ」たぶんこれがウルフの中心思想でもあるでしょうね。ティルダはケンブリッジ大学卒業後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーへ。「ザ・ビーチ」(孤島の怪しげな女王さま)でハリウッド進出「フィクサー」でオスカー助演女優賞を受賞した実力派です。

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