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シネマ365日

2012年3月5日

「旅立ちと出発の映画」特集5 私の中のあなた(2009年 家族映画)

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監督 ニック・カサヴェテス
出演 キャメロン・ディアス/アビゲイル・ブレスリン/ソフィア・ヴァージリヴァ/アレック・ボールドウィン

わかちあう愛と犠牲 

 カサヴェテス監督は死へのプロセスをみつめ続けてきた。「ジョンQ」では難病の子供を救うために病院にたてこもる父。「きみに読む物語」では老いた認知症の妻を最後迄みまもる夫を。名前ですぐわかるようにインディペンス系の父ジョン・カサヴェテスを父に、「グロリア」のジーナ・ローランズが母だ▼「私の中のあなた」も死に移行する人々をみつめる。白血病の姉ケイト(S・ヴァージリヴィア)のドナーとして遺伝子操作で生まれてきた妹アナ(A・ブレスリン)は、生まれてからずっと臍帯血・輸血・骨髄移植の手術を繰り返してきた。11歳のとき腎移植手術を拒み、有名な弁護士アレクサンダー(A・ボールドウィン)に両親を告訴すると弁護を頼む▼母親と娘は法廷で争うことになる。回想シーンがある。余命いくばくもないケイトを助ける…重いこの役割に耐えかね、ばらばらになっていく家族を監督は冷静につかまえる。狂信的にケイトを救おうとする母親サラのC・ディアスはノーメイク、スキンヘッドの熱演だ。判事や弁護士自身がかかえるつらい過去が、11歳の子供の言い分だからというあなどりを排除し、人間として痛みをわかちあおうとするアプローチになっているのがいい▼裁判が進むにつれ、サラは母親のカンでアナの様子がおかしいとわかる。姉が大好きで今まで過酷なドナー役を拒んだことがないのになぜ。真相は子供たちが自分で考えぬいた結論だった。「ママは私の細胞が二つになるまで手術をくりかえすわ」とケイトは妹にいう。自分を助けるために緊張と犠牲を強いられる家族。腎臓摘出を迫られている妹。あきらめない母。「私は覚悟を決めたわ。アナ。弁護士のところへ行ってこう言うのよ」▼ケイトにはボーイフレンドができた。テイラー(トーマス・デッガー)だ。どんな薬よりケイトを元気づけることができた。ケイトはベッドでテイラーにきく「死ぬことは怖くない?」テイラーは答える「ガンになったから君にあえた。ガンになってよかった」このもうけ役は(スキンヘッドになっているからわかりにくいが)テレビ版サラ・コナーの息子だ▼登場人物それぞれの「死の受け容れ方」に観客は反発と抵抗を、共感と合意を感じるにちがいない。しかし姉との魂の再会を約束した場所、湖でアナが独白する「わたしにはケイトという素晴らしい姉がいたのだ」という結論に、アナの人生の再出発を祝福しない人はいるまい。

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