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シネマ365日

2012年3月7日

「旅立ちと出発の映画」特集7 ニキータ(1990年 アクション映画)

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監督 リュック・ベッソン
出演 アンヌ・パリロー/ジャン・ユーグ・アングラード/ジャン・レノ/ジャンヌ・モロー

「ニキータ」以前・以後 

 麻薬中毒で粗暴な、野獣のような不良娘が国家組織の訓練を受け、美しい暗殺者に変貌していく。ごぞんじ「ニキータ」はリュック・ベッソンを一躍有名にした。乾いた映像の緊張感がしびれる。「ニキータ」の大ヒットでベッソンはハリウッドで「レオン」を撮ることになる。主演のアンヌ・パリローはベッソンの妻(撮影が終わったときには離婚していたが)▼女性の殺し屋という設定だけで充分なドラマ性が期待できるのか、いい女優が殺し屋を演じた。「蜘蛛女」(1993)のレナ・オリン、「サイレンサー」(2007)のヘレン・ミレン、「ウォンテッド」(2009)のアンジー、「キル・ビル」(2003)のユマ・サーマン、ニキータのアメリカ版「アサシン」(2003)ではブリジッド・フォンダ、ほかにはヴァンパイア専門の「ラスト・ブラッド」のチョン・シヒョン、「スティング」でロバット・レッドフォードを狙うサキーノも忘れがたい▼ベッソンは「ニキータ」が殺し屋になるまでのプロセスを具体的に描いている。ひとつも振りかぶらず営業マン養成みたいに事務的に運んでいるところが面白い。秘密の場所で高度な訓練を受けるのだけど、人間離れしたものすごい訓練じゃなくて、黒帯の空手とか合気道とかコンピュータとか、そういう格闘技や基礎訓練がわりときちんと映される。ニキータは生まれついた運動神経のよさでめきめき腕をあげるが、今イチさっぱり、なのがこっち。美しい女を武器とする殺しのテクニックだ▼ここで登場するのがジャンヌ・モロー。現役のエージェントを引退して後方部門に回っている。荒々しい山猿みたいなニキータを、男をとろけさせ知性あふれるセクシーな、しかも抑制的なレディにしあげるのが仕事だ。いってみれば「マイ・フェア・レディ」暗殺者版といった趣である。ここでジャンヌがいう「限界のないものがふたつあるわ。女が美しくなること。それを乱用すること」こういうのを映画的台詞っていうのよね。観客は日常会話を聞きに映画をみるわけじゃないからね▼過酷な「卒業試験」を経てニキータはしなやかな暗殺者に変貌した。しかし所詮は政府に便利使いされる、雇われ殺し屋にすぎない。つらくなって(ばかばかしくなって、に変えたほうがよかったと思うが)ニキータは仕事をすませたのち婚約者を置いて行方を消す。ちょっと泣きすぎのきらいはあるが、ともあれこのあと一連の前述した女性殺し屋が登場した。リュック・ベンソンはハッキリこう言っている。「自分の仕事はニキータ以前と以後にわかれる」これまでのフィルム・ノワールのファム・ファタールをもっとカラッと機能化させ「女性殺し屋」というジャンルを出発させた映画です。

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