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シネマ365日

2012年3月9日

シャーロック・ホームズ (2009年 アクション映画)

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監督 ガイ・リッチ
出演 ロバート・ダウニー・ジュニア/ジュード・ロウ

新ホームズはアクション大好き

 趣味は化学実験、ボクシングはプロ級、事件がなくて退屈すると拳銃で壁に発砲し、ヴィクトリア女王のイニシャルを撃ちぬく、などわりと原作に忠実なのに、ガラリ変わったと思うのは、ホームズの「見た目」を一変させたからだ。長身痩躯(すくなくとも身長180センチ)もの静かな学者肌、かつ紳士的で高いワシ鼻に細面、鳥打帽をかぶり、フロックコートの襟をたて、現場検証は徹底的▼そのあたりが違う。本作のホームズ(R・ダウニー・J)はかなりワイルドで無精髭をのばし、けんかっぱやく部屋は汚らしい。長身痩躯とはみえないが筋肉質でボクシングは三度の飯より好き。そのへんのごろつきは一発で打ちのめす。ワトソンの再々の忠告によって喫煙はやめた、と口では言うが未練タラタラ。推理に集中するときはタバコをしこたまそばに置き、つぎからつぎに火をつけ、思考に没頭するのが常であったが、このたびは筋肉にモノをいわせる行動派。ヴァイオリンを弾くはずだが、本作ではボロのヴァイオリンの弦を弾く程度だ▼ときは1891年、世紀末のロンドン。怪しい黒魔術の儀式を行い、若い女性がつぎつぎ殺害された。ホームズとワトスンは犯人ブラックウッド卿を逮捕し、絞首刑の執行を確認する。処刑されたはずのブラックウッド卿がよみがえり、再び殺人が起こる▼死んだという診断は君が下したのだ、おかしいじゃないかとホームズはさもワトソンがやぶ医者であるごとくに言い、ワトソンはむかついて、もうお前の相棒は勘弁していただくとケンカ別れ。このへんが大いにコミック的ですね▼テムス川にせりだしたクレーンの上のアクション、宿敵モリアーティ教授もチラリと後ろ姿だけみせるなど、推理プラス、アナーキーなホームズはたいへん新鮮です。しかしもう一つの要素は、19世紀末ロンドンの光景がリアルに、魅力的に再現されていること▼これこそコナン・ドイルがすべてのホームズ作品に取り入れた「シャーロック・ホームズの空気」です。陰鬱なロンドン、石畳の街路、人を拒否する厚い高い塀、黒々と流れる川、俯瞰すればどこまでも続く緑のない都会、強盗殺人がひきもきらず、つぎの事件がいつ起こっても不思議ではない導入が緻密に計算され、あとは主役の登場をまつだけ。映像だからできた秀抜なセットでした。

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