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シネマ365日

2012年3月13日

検察官 レイプ殺人事件 (1981年 社会派映画)

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監督 クロード・ミレール
出演 リノ・ヴァンチュラ/ロミー・シュナイダー/ミシェル・セロー

名優が三人 

 タイトルはまがまがしいが、暗い詩情をたたえた映画だ。8日間の間に2人の8歳の少女が暴行され殺害された。捜査にあたる刑事ガリアン(R・ヴァンチュラ)は、容疑者として公証人マルティン(M・セロー)を拘留する。大晦日の夜9時から新年の朝7時までの10時間に、公証人はガリアンの執拗な尋問を受け、妻シャルタル(R・シュナイダー)との異常性愛が明るみにで、妻の謎めいた行動があり、第三の殺人が発覚して真犯人が判明する。あらましは以上だが、あらましからはみだした、台詞やスクリーンに入りきれない、深い部分が全編にかもされている▼雨のふりしきる大晦日の夜、ガリアンが署に入る。映画はここから始まる。冒頭の数分をよくみておいてほしい。ここがうろ覚えだとラストが何のことかわからなくなる。初めから巧みな伏線が張られている。監督に「お主、只者ではないな」といいたくなるすべりだしなのだ。ガリアンの質問に拒否の回答をしていたマルティンが、妻が警察に訪ねてきた、ときいたとたん動揺する。ガリアンが妻シャルタルと対面する▼夫の変態性欲が明らかになり、なぜ別れなかったのかという刑事の質問に「両親がハム1枚で食事する家庭に育った。法学博士である公証人との結婚は魅力だった」。暗い照明を受け、低い声で話すロミーはときに微笑し、ときに沈黙し、ときに韜晦し、宿命の女を緩急自在に演じる。彼女の死の前年の映画である。ヴァンチュラとの絡みには一分の隙もない。これだけでも本作をみる値打ちは充分だ▼妻が自分の異常性愛を打ち明けたにちがいない、と知ったマルティンは一転して自白しはじめる。彼にとってはレイプ殺人より隠したかったのは「倒錯した性」だったのだ。しかし妻が動かぬ証拠をガリアンにつきつけ、自分を追い詰めたとわかったときは、もともと壊れていたかもしれないが、あまりに完全な愛の崩壊に呆然。夜が開け新年となり雨もやんだ。マルティンの逮捕で事件は解決した。ガリアンの粘りを称える上司。積荷作業で車が渋滞した。止まっている車の1台のトランクから、不審な血痕のようなものを認めた警官がガリアンを呼んだ…▼シャルタル、ガリアン、マルティン。ラストでクローズアップされる三者三様の陰影。それが浮かび上がらせる物悲しさに言葉をなくす。

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