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シネマ365日

2012年3月20日

ガス燈 (1944年 サスペンス映画)

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監督 ジョージ・キューカー
出演 イングリッド・バーグマン/シャルル・ボワイエ/ジョゼフ・コットン

キューカーとバーグマン

 1940年代のフランスが暗黒街映画なら、アメリカは何を作っていたか。古いついでに「ガス燈」といこう。これがまたどっさり書く内容のあるしっかりした映画なのだ。もちろん29歳のバーグマンの成熟した女の魅力もあります▼「ガス燈」の洗練された雰囲気からはちょっとわかりにくいかもしれないけど、バーグマンっていう人はすごいフェロモンを発する肉感的な女優だと思います。175センチの身長に全身の印象がふくよかで、オードリーのステッキみたいな体型ではなく、腰はひきしまり、豊かな胸に大きなお尻。パーティーシーンでバーグマンが入ってきたとたん、モノクロ映画でもそこが光るのは、フィルムの間違いではないはず▼ストーリーは6人の女を殺した犯人がまだつかまらない、という未解決殺人事件が発端だが、奇をてらった猟奇的展開ではなく、スコットランド・ヤードの刑事(ジョゼフ・コットン)が推理していく伝統的推理劇です。ある国の王冠に飾られた宝石がバーグマンの叔母に贈られ、それを狙う男(シャルル・ボワイエ)が作曲家といつわりバーグマンに近づき結婚、叔母の住んでいた邸宅でくらすことに。男の目的はバーグマンを殺すか追い出すかし、家中倒壊させてでも宝石を見つけ出すこと▼男が家政婦を抱き込み、バーグマンの身辺に罠をしかけていくのは周到で、さも憎らしい悪漢に仕上がっている。ラストでえげつない復讐の悪女にもなれるバーグマンをみたかったが、ま、そんな時代ではなく、その代わり彼女はみごとオスカー主演女優賞に輝いた▼もうひとつジョージ・キューカー監督のこと。男・男・男で女優は添え物だったハリウッドでひとり、女の味方だった監督。彼はゲイでした。50年間の監督人生で彼が魅力をひきだした女優たちをみてください。キャサリン・ヘップバーン「若草物語」「素晴らしき休日」、グレタ・ガルボ「椿姫」、ジュディ・ガーランド「オズの魔法使い」「スター誕生」、ジョン・クロフォード「女性たち」マリリン・モンロー「恋をしましょう」(イヴ・モンタンと共演)、オードリー・ヘップバーン「マイ・フェア・レディ」(オスカー監督賞)。女性映画ならキューカーに任せろ、といわれたのも故なしとしません▼本作から13年後の1957年、フランスで「勝手にしやがれ」が公開され、映画界は屈折した青春の憂鬱な映画のオンパレードになっていきますが、キューカーは動じず82歳のときの佳品「ベストフレンド」まで、今のハリウッドでは死後となった、優雅な女性映画の巨匠でありつづけました。

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