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シネマ365日

2012年3月23日

ウォール・ストリート (2010年 社会派映画)

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監督 オリバー・ストーン
出演 マイケル・ダグラス/シャイア・ラブーフ

金融の荒野 

 ハッタリとエゴで貪欲に生きる金融家集団が、世界のマネーを経済破綻に陥れるブラックな茶番を共通分母に、織り成された親子・夫婦・ファミリーの絆がじんわりあぶられてくる。もちろん「ウォール街」(1987)の続編だ。主人公ゴードン・ゲットー(M・ダグラス)がインサイダー取引で8年の懲役を終え、出所するところから「ウォール・ストリート」は始まる▼7年後。ウォール街で働くジェイコブ(シャイア・ラブーフ)が勤務する会社の株が暴落し、経営者は自殺、自社株に投資していたジェイコブは資産を失う。ある日ジェイコブはゴードンの講演をきき、娘と結婚するつもりだと打ち明ける。ゴードンはきたるべき金融危機を予言する。「ウォール・ストリート」公開の2010年とは。オリバー・ストーン監督はこういう時事的なタイミングを読むのがうまくて本作もそう。サブプライムローンに端を発した世界金融危機の発生が2007年、リーマンブラザーズの倒産が2008年。金融市場が崩壊した世界同時不況・株安を、日本も例外なくいまなお引きずっている▼当時の経済不況がやっと鎮静したと思える2011年、東日本大震災である。この3年の金融及び自然災害で日本経済はメリ込んだ。その遠因が(地震はともかく)この映画のこういうシーンではなかったのかと疑いながらみていると、たくさんのトラブルを乗り越え、家族の絆を取り戻した一家の幸福なラストシーンには、オリバー・ストーン監督にすればテンションの下げ過ぎではないかと思ったほどだ▼それにしても経済界の栄枯盛衰の一端を示したのがゴードン・ゲッコーの演説。かれは中国には注目せよと指摘するのですが、日本とは一言もいわない。生き馬の目を抜くようなハリウッドで、日本の経済力がどんな位置で見られているかよくわかる。勝てば官軍を絵に描いた世界ですね。わりきればそれも一種爽快であります。ラストでこじんまりまとまらず、底なしの荒野に吹きすさぶ「金融嵐が丘」にすっくと立ち「金だけがすべてじゃないぞ、お前ら」と吠える、クソアナログのヒーローがいてほしかった気がしました。それって負け犬の遠吠え? とんでもない。ジェイコブの着メロは「荒野の用心棒」ですよ。戦争の暴力、精神と社会の荒廃を描いてきたストーン監督、お好みのキーワード「荒野」を、チョイ出しなんかするなよ。

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