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シネマ365日

2012年3月26日

しあわせの雨傘 (2011年 ハートフル映画)

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監督 フランソワ・オゾン
出演 カトリーヌ・ドヌーブ

豊かさのドヌーブ

 原題「飾り壺」をわざわざ「しあわせの雨傘」としたのは50年前の名作「シェルブールの雨傘」へのオマージュでしょう。ヒロインの会社が雨傘製造会社であり、雨傘が幸せのドアを開いた、というストーリーとも関係しますが。「まぼろし」「スイミングプール」のフランソワ・オゾン監督が「8人の女たち」に続いてドヌーブと組みました。よかったですよ▼ドヌーブは謎めいて冷たく、無関心でなにを考えているかよくわからない美人、という持ち味でした。それが「しあわせの雨傘」では裕福で気さくな、ジャージ姿でジョギングし、公園で小鳥に話しかけ詩にするブルジョワの主婦・スザンヌを演じます。夫は雨傘製造会社のワンマン社長。自分は秘書と浮気しているのにスザンヌに口をはさませない。妻を飾り壷(美しいだけで実用性がない)とバカにし、サルコジ大統領顔負けの暴言を吐く(「消え失せろ、ばかやろう」)▼従業員がストライキを起こし夫は心臓発作で入院。スザンヌが社長代行する。彼女は創業者・父の娘である。父の代から働いてくれている従業員はみな顔見知りだ。小難しいことはいわないスザンヌの、育ちのいいやさしさと、だれにでもわかる主婦目線の発想に従業員は納得、ストはおさまる。それだけでなく業績は向上した。夫はスザンヌを飾り壷にもどそうとするがスザンヌはひきさがらない▼経営の支配権を巡る一族間の綱引きがあり、絶対有利だったスザンヌが敗退する。旦那にいいポストを与えてやるという父の好餌にくいついた娘が、母スザンヌを裏切ったわけ。こういうところでオゾン監督は「男にすがる女」のホロ苦さをきっちり描いて、おめでたい女性讃歌映画にしていません▼スザンヌは自分の人生を生きはじめた手応えにワクワクしている。飾り壺?「フン。人が黙ってそのフリをしていてやったことがわからんのか」進軍ラッパは高らかに、スザンヌは女性の地位向上を訴え選挙に打ってでる。ドブ板踏んで女性の支持をとりつけみごと圧勝▼貞淑な妻だったはずのスザンヌの打ち明け話がこれまた面白い。ヒントの台詞はこれ「先に復讐しておいてよかったわ」やっぱりミステリアスは彼女のキーワードですね。ドヌーブこのとき68歳。若いときのシャープなそれではなく、ゆったりと人を安心させる美貌に変わりました。いくらジャージを着てもお腹が出ても、ドヌーブはドヌーブですね。

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