女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

シネマ365日

2012年3月28日

ラリー・フリント (1996年 ヒューマン映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ミロス・フォアマン
出演 ウディ・ハレルソン/コートニー・ラブ/エドワード・ノートン

「ハスラー」のどこが悪い 

 ポルノ雑誌「ハスラー」の創刊者、ラリー・フリント(ウディ・ハレルソン)の伝記映画だ。本作には二つの主流がある。ひとつは表現の自由を巡っての戦い。あとひとつはラリーと妻アルシア(コートニー・ラブ)のラブ・ストーリー。もうひとつ加えるなら弁護士アイザック(エドワード・ノートン)との友情だろう▼フォアマン監督は彼の演説を引用している。本作の中心思想である「殺人は違法だが、その殺人現場を写真にとればニューズウィークの表紙を飾るかもしれないし、ピューリッツアー賞をとるかもしれない。対してセックスは合法で、みな大好きなのに男女のセックスを写真にし、女性の裸を撮ると刑務所に入れられる可能性がある」性器を露出した過激なグラビアは社会の反感をよび、創刊当初は返品の山。しかしジャクリーン・オナシス・ケネディのヌード写真を買収したラリーがそれをハスラーに掲載するとあっというまに200万部の売れ行きで彼は一躍ビリオネアとなる▼フォアマン監督は、人間の覗き趣味に応えることが億万長者になる方法であったと、あっけらかんと描く。裁判につぐ裁判をアイザックマンの弁論で切り抜けるが、ラリーの法廷での暴言や奇矯なふるまいは裁判官と陪審員の心証を悪化させるだけでなく、アイザックマンをも辟易させる。裁判の係争中、ラリーとアイザックマンは狙撃され、弁護士は回復するがラリーは下半身マヒとなる▼ラリーは豪邸で治療に専念するが重度のウツに、アルシアはそんなラリーを看護しながら自分もモルヒネの中毒に陥っていく。ラリーは疼痛をのぞく手術によって車椅子で復活、麻薬取引のビデオや牧師の近親相姦で再び裁判。意見の異なるアイザックマンは解雇されるがアリシアの懇請で復帰、しかしHIVに感染していたアリシアは衰弱をまし浴槽で溺死する。最愛の妻の死にラリーは「なにか意義のあるもののために記憶されたいのだ」とアイザックマンに嘆願し最高裁に上告する。アイザックマンの熱弁は陪審を動かし「表現の自由」は満場一致で評決を覆した▼ラディカル・フェミニズムや優良読書家のポルノ撲滅運動はあったが、それはそれとして、社会の裏街道の日陰者扱いにされていた「ハスラー」は、ラリー夫婦の「産みの子」であり、こいつのどこが悪い、こいつだって胸を張っていいのだという、コンプレックスをバネにした夫婦の心情を思わないと、彼らが戦った「表現の自由」は半分しか血が通わない。フォアマンはだから、創刊以来無二の戦友だった生ける妻のビデオに、世間が「ハスラー」を認めたことを伝えるハリーでもって、この映画を閉じたのだ。

Pocket
LINEで送る