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2012年3月11日

古民家を再生した雑貨店で原発被災者の思いを伝えたい

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和風雑貨とカフェのお店 仮庵 
店主 紺野奈緒子さん

福島県南相馬市から避難 再起をかける滋賀県東近江市で知った人々の温もり

 東に鈴鹿山系、西に琵琶湖を望む滋賀県東近江市乙女浜町。田園風景が広がるこの地で、紺野奈緒子さん(56歳)は築100年以上の古民家を再生した雑貨店とカフェ「仮庵(かりいお)」を営んでいます。
 紺野さんが以前住んでいたのは、福島県南相馬市原町区。順調だった和風雑貨店・カフェの経営と家族4人の平穏な日常は、平成23年3月11日を境に大きく変わりました。

 原町区は、東日本大震災で爆発した福島第一原発からわずか24kmの距離。緊急避難準備区域の指定を受け、紺野さん一家は仕事でなじみのあった京都市内に一旦は転居します。
 ところがそれまで経験のなかった都会での団地暮らしに、一家はとまどうばかり。「地べたのない生活は落ち着かない」(苦笑・紺野さん)と、新たな住居を探す紺野さんの目に留まったのが滋賀県東近江市乙女浜町でした。
 「前は海、後ろは山」という故郷の風景をどこか感じさせる町並みだけでなく、紺野さんの心を何よりも強くとらえたのが地域の人たちの素朴で温かい人柄でした。市内の不動産業者の厚意により格安で住居と店舗も確保でき、家族の新しい生活が始まりました。
 同年8月にオープンした店舗では、和風雑貨に加え、曲げわっぱや樺細工など東北地方の特産品も販売しています。旧店舗で人気だったコーヒーと手づくりケーキも好評で、来店した人たちと気さくに会話を交わす紺野さんですが、「お店では自分たちの今回の体験や思いも語り継いでいきたい」と表情を引き締めます。


 突然、日常生活を奪われたとまどいと悲しみ、いつ帰れるやも知れぬ故郷への追憶など、「福島の悲劇を二度と繰り返さないためにも原発の恐ろしさ・愚かさを伝えられるのは、わたしたちしかいない」(紺野さん)。「仮庵」のオープンが古民家に再び生命を吹き込んだように、紺野さんの新たな歩みは本当の豊かさや安心できる暮らしとは何かをわたしたちに問いかけています。

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