女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

シネマ365日

2012年4月13日

ボーン・アイデンティティ (2002年 アクション映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ダグ・リーマン
出演 マット・ディモン

醜男・セクシー・魅力 

 フランス映画には醜男の系譜というのがある、ジャン・ギャバンからジャン・ポール・ベルモンドに至る系譜であるが、この場合の醜男とはセクシーな男の典型ととらえられる、そういう意味のことが「山田宏一 フランス映画誌」にあったと覚えている。この伝でいけばハリウッドにもハンフリー・ボガードやジェームズ・ギャグニーらの同様の系譜があるのではないか。「醜男」というのは気がひけるが、どうみても美男ではない、ないがすごくセクシーで男のフェロモンをふんぷんと発酵させている、という…▼この直系にマット・ディモンは連なる。どうみてもハンサムとは言いがたい。あぐらをかいた鼻、四角な顔つき、タラコ唇にいつもにらみつけているような目付き。ところが「ボーン・アイデンティティ」でみせたマット・ディモンのアクションは、やれハンサムとか美男とか、顔がどうとかこうとか、彼の顔にまつわるいっさいのマイナスを一掃してしまった。アクションの素晴らしさと主人公のキャラクターに内包されるサスペンスの引力で、日本で公開された2003年1月、なんと毎年のように興行収入ナンバー1の座を保持していた「ハリポタ」(その年は「秘密の部屋」)を抜いたのだ▼マット・ディモンは「ディパーテッド」でレオナルド・ディカプリオと共演した。監督はマーティン・スコセッシ。ふたりとも演技力では甲乙つけがたい熱演だったが、なにかといえば複雑なアート系作品にでたがるディカプリオにくらべ、アクション映画というジャンルを、その気になればいつでも制することができるマット・ディモンは、どこか余裕だ。体質的にコロコロ太るディカプリオには、逆立ちしてもできない役のひとつが「ボーン・アイデンティティ」だったと思える▼「ボーン・アイデンティティ」のボーンとは主人公の名前、主人公が記憶喪失になり、自分のアイデンティティ(存在)を求めていく。彼が知力筋力ともに超一流のスパイであることが、どんどんあきらかになっていくプロセスが息もつかせない。物語としてもよくできているし、マット・ディモンが終始無口で表情を変えず、筋肉に媚びを売る映画でも俳優にもなっていないが、じつは一級のアクション映画だというところが面白い。ボーンの戦闘機能特化ボディへの改造費100億円とかいうところは、いかにも物質主義のアメリカ映画だ。

Pocket
LINEで送る