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シネマ365日

2012年4月19日

ザ・シークレット・サービス (1993年 アクション映画)

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監督 ヴォルフガング・ペーターゼン
出演 ジョン・マルコヴィッチ/クリント・イーストウッド

マルコヴィッチの声

 監督ヴォルフガング・ペーターゼン・主演クリント・イーストウッドとくれば、書くことは山ほどあるにちがいないが、今回はこの人、ジョン・マルコヴィッチだ。「シネマ365日」の中で「コン・エアー」「クリムト」「リバティーン」「愛のめぐりあい」「リプリーズ・ゲーム」「レッド」といつのまにこんなに、意図せず特集でもないのに、マルコヴィッチの映画を選んでいたのかとびっくりした▼男って3種類あるのよね。いい男・気になる男・憎めない男。ほかはどうでもいいという…。マルコヴィッチとは気になる男の典型なのだ。「ザ・シークレット・サービス」で完全にクリントは影が薄くなっていた。クリントもマルコヴィッチの存在感が気にいったのだろう「チェンジリング」で主人公アンジーを救出する白馬の騎士・正義の牧師役をわりあて、出番は少ないが、救いのあるクリントの映画好きファンを満足させている▼筋書きは過去にJFKを守りきれなかった老練のシークレット・サービス・エージェント(クリント)と大統領暗殺をたくらむ元CIAの殺し屋(マルコヴィッチ)の一騎打ちだ。マルコヴィッチがワルをやると、どうしてこう隙がないのだろう。もちろんペーターゼン監督の重厚な映画づくり、細部にわたるキメこまかな脚本と演出はあったであろう、しかしたとえばマルコヴィッチが暗殺用の特殊な拳銃を木工でつくる手際、もくもくと作業するうつむいた顔。マシーンのように撃ち殺すその無表情。こんなシーンをみると映画とは結局のところ、被写体の魅力にあるのではないか、すぐれた監督とはその持ち味や個性を、いやがうえにもひきたてる監督ではないかと思ってしまう▼サイコな殺人狂、精神を病む男、生きていけないほど繊細な神経、暗い目にエキセントリックな光をたたえ、精神の砂漠を歩く傑作「シェリタリング・スカイ」。実も蓋もなく禿げ上がったアタマ、魁偉な容貌に女は一歩さがる。しかし洗練されたマルコヴィッチの声の表情はどうだ。微妙でみえない段落にとみ、断言するが彼は「声美男」である。役作りに深い洞察がなされていること、演じる人物の内面をマルコヴィッチが的確にとらえ、それどころかホンにある以上の解釈を与え、創造し、役に生命を吹きこんでいる思考する役者であることを、その声は語っている。

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