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シネマ365日

2012年4月21日

美しき諍い女 (1991年 恋愛映画)

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監督 ジャック・リヴェット
出演 ミシェル・ピコリ/ジェーン・バーキン/エマニエル・ベアール

非情の「諍い女」 

 バルザックの「知られざる傑作」が原案だ。それにしても238分、4時間の映画の半分以上はアトリエの画家の製作プロセスだからおそれいる。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞だが、審査員はじつは根負けしたのではないか▼画家フレンホーフェル(M・ピコリ)は世捨て人同様、妻のリズ(J・バーキン)とおだやかに暮らしている。彼は17世紀の娼婦「美しき諍い女」に触発され、妻をモデルに製作したがどうしても完成できず、敗北感にまみれ筆を折った。そこへ若い画家が恋人マリアンヌを連れてやってくる。彼女をみたフレンホーフェルは、長いこと打ち捨てていた「美しき諍い女」に挑戦する意欲が湧く。しぶしぶモデルを承知したマリアンヌだったが、画家の要求は「君の骨格をばらばらに解体して、内面の真実をキャンバスに刻む」と、意味はよくわからんがとにかく骨がヒン曲がるような、きついポーズを次々取らせる▼「美しき諍い女」の由来はわかったが、この映画、思わせぶりな台詞が多いのである。マリアンヌが疲労でクタクタになってきたとき、肉体の真実が「そろそろでてきそうだ」と画家はつぶやくのだけど、観客はなにがでてくるのか、マジックである▼リズはあなたの内面がさらけだされるから、顔を描きたいといわれたらことわらないとダメよ、と忠告する。マリアンヌは「なにバカいってンの」って感じ。人のいうことなんか聞く女じゃないのだ。でも画家といっしょに辛酸の経験をともにしているうち、共闘精神というか、へこたれてきた画家に「頑張らなきゃだめよ」とハッパをかけるのだ。絵が完成した。どんな絵かスクリーンには示されない(出せよな)。でもマリアンヌは衝撃のあまり「非情で冷淡な」女がそこにいた、と言ってショックのあまり泣く。それは画家の技量によって引きずりだされた「諍い女」であってマリアンヌじゃないだろ▼そう思うのだけど、画家は悪夢のような絵だとして壁に塗り込め、ごく普通の平凡な出来栄えの絵をチャチャッと描いて完成作だとして披露する。マリアンヌを除いて妻だけが画家に隠れてこっそり真実の「諍い女」を見ていた。「美しき諍い女」とは「運命の女」ファム・ファタールであって、男の運命を狂わす女が愛と平和の世界に満ち足りていたのではいかんのだ。ゆえに「美しき諍い女」は再び闇に姿を消した。でもね。恋人が「いっしょに旅に出よう、新生活に出発しよう」という誘いを「いやよ」言下に振り払うマリアンヌは、なんだか冷たい非情の「諍い女」が乗り移ったみたいでしたよ。

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