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シネマ365日

2012年4月28日

ゲームの規則 (1939年 恋愛映画)

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監督 ジャン・ルノアール
出演 ローラン・トウタン/ノラ・グレゴール/マルセル・ダリオ

インモラルでアナーキー

 劇中何度か「規則」という台詞が主役たちの口から出る。社交界には規則があるとか、きちんと断って出奔するのが規則だとか。しかし「ゲームの規則」という映画はおよそ「規則」になど囚われない、インモラルでアナーキーなセレブたちの乱痴気パーティーなのだ▼筋書きをくだくだ述べてもあまり意味がない。フランス上流社会のもはや伝統ともいえる不倫、三角関係が上を下へと繰り広げられる。侯爵家の女主人クリスティーネ(ノラ・グレゴール)は大西洋を23時間で横断した、時の英雄飛行士アンドレ(ローラン・トウタン)と、クリスティーネの夫ロベール侯爵はクリスティーネの姪と恋愛関係に、新参の召使と女主人付きの小間使いと夫の森番は三角関係のあげくパーティーをぶちこわし、森番はあやまってアンドレを射殺する▼チャップリンに心酔したというルノワールは「ゲームの規則」を「楽しい悲劇」と名づけ、徹底したとうより呵責ないドタバタ調で映画を進め、とくに侯爵家のパーティーが始まってからはコテコテの食傷するほどの煮込みかただ。この監督が「ゲームの規則」の冒頭に引用したエピグラムを途中で思い出さなければ、ブルジョワ社会の無意味な恋愛遊戯としか映るまい。冒頭にこうある「浮気心をなじる君/うらみごとはほどほどに/心変わりは罪とでも/翼あるのが恋の神/あちらこちらへとび回る」(フィガロの結婚)▼不倫でも三角関係でもすべての登場人物に言い分がある。実人生とはそういうものだ。侯爵夫人、愛人、森番、召使、小間使い、恋愛の当事者たちは口々に追いかけ合い、好き放題に喋り、走りまわる様は無責任なまでに際限ない。その一方で狩りをするセレブたちに撃ち殺されるウサギやキジ、黒い闇に浮かんだ骸骨の舞踏。パーティーの終わったあと、何事もなかったように帰っていく客人たちの、冷え冷えとした静けさはまさに「宴の後」だろう▼われわれの一寸先もこれと同じであり、人生とは収拾しようなどない、どっかで狩りのウサギみたいに死んでしまう。陽気で暗く、暗いと思えば明るく、真剣だと思えばいい加減で、絶望したと思えばおもいがけない希望を与えられ、成功の暁に失敗が待っている。そんな混迷のなかで何事もなかったように生き延びる、それがゲームの規則だといわんばかりだ。

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