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コラム

2011年8月1日

傷つけることなく獣害を防ぐ

逵敏也さん 畠山ひさ子さん 宮下洋子さん
モンキードッグ倶楽部

人間と野生動物の新たな共生関係を築く

環境破壊や過剰繁殖から近年、野生動物が市街地や山間部の人里に出没し、大きな問題になっている。そんななか注目を集めているのが、動物を傷つけることなく本来の生息地域に追い払う「モンキードッグ」(以下・MD)だ。
トラブルになっている動物は、サルやシカ、イノシシなど。特に群れで行動するサルは農作物の被害が大きく、女性や高齢者・子どもなど弱者を攻撃することも多い。
音響による威嚇や防獣ネットなど、各地でさまざまな獣害対策が講じられているが、サルの学習能力の高さもあり、決め手に欠くのが現状だ。そんな折、平成19年、長野県で誕生したMDは、サルの天敵である犬を利用した効果的な方法として一躍注目を集めた。

全国初の交流組織「モンキードッグ倶楽部」発足

奈良と三重の県境に位置する宇陀・名張地区も、長年サルによる被害に悩まされてきた。地区内には40~50頭から成る2つの群れが生息し、田畑だけでなく民家に侵入し被害を与えるケースもあった。
そのため宇陀・名張地域鳥獣害防止広域対策協議会では、平成21年11月からMDの育成に乗り出した。警察犬訓練士が指導にあたる訓練は、週1回2時間。「伏せ」「待て」といった基本の服従動作から、サルを追い払う実践的な方法まで学ぶ。
5ヵ月におよぶ訓練の末、22年4月には、10頭がMDに認定された。その中の一頭・団十朗は、ダルメシアンのオス・7歳。サルを追い払う際にはリード(引き綱)を放すこともあるが、飼い主の畠山ひさ子さんは、「地区内にMDの活動を紹介する看板を設置するなど、地域一体になった活動で次第に理解が深まりつつある」と話す。
また、野良犬だったソロモン(オス・推定8歳)を引き取り、MDに育て上げた宮下洋子さんは、「ユニフォームであるオレンジの標識を身に着けると、本人(?)も『これから仕事だ!』と気合いが入るようです」と目を細める。
今春には全国で初めて、MDの飼い主と獣害対策関係者による交流組織「MD倶楽部」が発足した。同倶楽部の逵敏也・代表は、「一頭のMDでは追い払いにも限界がある」と指摘し、「今後、飼い主同士が情報を共有・交換し連携することで、現在の点の活動をさらに広く、面の活動にまで広げることができる」と期待を込める。
将来的にはHPを立ち上げ、全国に情報を発信していきたいというMD倶楽部。人と野生動物との豊かな共生関係を築くべく、新たな取り組みが始まった。