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コラム

2011年8月3日

女性杜氏が造る新時代の日本酒

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長谷川渚さん
丹山酒造有限会社 杜氏

自然の恵みと人の知恵が最高の日本酒を生む

城下町として発展し、豊かな自然と清らかな水に恵まれた京都府亀岡市。この地で創業129年、老舗造り酒屋の女性杜氏として活躍しているのが、長谷川渚さんだ。
四代目当主の次女として生まれた長谷川さんは、幼い頃から酒蔵が遊び場だった。出稼ぎに来ていた能登(石川県)杜氏にかわいがられたこともあり、酒造りの現場が大好きになった長谷川さんは、小学生のころ「将来は杜氏になろう」と心に決めた。
高校を卒業後は、「一日も早く手に職をつけるため」(長谷川さん)、日本発酵機構余呉研究所(滋賀県)へ。発酵学を1年間学んだ後は、小泉武夫・東京農業大学名誉教授(発酵学)の研究室でさらに半年間研究を重ねた。

19歳の冬に帰郷し、南部(岩手県)杜氏の指導のもと、修行が始まった。だが、覚悟していたものの真冬の早朝から始まる仕事は想像以上に厳しく、「最初の3年間は仕事を覚えることに、とにかく必死だった」と振り返る。
それでも持ち前の明るさと熱意で技術を磨き、数年前には全国でも珍しい女性杜氏として独り立ちした。とはいえ「日本酒離れ」「アルコール離れ」が進む今、造り酒屋の五代目として、酒づくりだけに没頭しているわけにはいかない。

女性らしさと職人魂で日本酒の新時代を拓く

高い品質を維持するため原材料の米は、2年前から国内産「山田錦」のみを使用している。特に大吟醸は地元産にこだわり、酒造りの休閑期にあたる夏場、農作業を行う酒蔵の職人を長谷川さんが営業面でサポートする。
男性的なイメージの強い日本酒の既成概念を打ち破ることにも挑戦した。一升瓶が当たり前だった10年以上前、ワインボトルのようなおしゃれな容器をデザインし、飲みきりサイズにするなど、女性も気軽に楽しめることを自ら店頭に立ちアピールした。
新商品の開発にも余念がない。アルコール度数8度と通常の日本酒の半分程度の低アルコール酒「飯櫃(ぼんき)」は、白ワインのような爽やかな口当たりで、食前酒として海外でも好評だ。
昨年からは市内にある京都学園大学と提携し、学生が米づくりから醸造までを体験するキャリア教育にも取り組んでいる。「自然の恵みと人間の知恵、そのどちらが欠けてもおいしい日本酒はできません」と話す長谷川さん。「現場の取り組みを通じて、一人でも多くの人に日本酒の奥の深さと魅力を知ってほしい」。女性らしい繊細さと、たたき上げの職人がもつ力強さ。新時代を切り拓く五代目当主の挑戦は、これからも続く。

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