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シネマ365日

2012年5月12日

彼女を見ればわかること (2000年 オムニバス映画)

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監督 ロドリゴ・ガルシャ
出演 文中に含む

いつか来る希望

 劇的な物語はありません。ロスアンゼルス近郊に住む5人の女性の、どうにもならない現実感、出会いや喪失、そんな過ぎゆく日常風景とでもいう物語が綴られていく。女性が潜在的にかかえる追い払えない不安、とでもいうようなものが細やかに織り込まれていく▼キーナー医師(グレン・クローズ)は老いた母親の介護をしながら、かかってこない男からの電話に不安を隠せない。医師として自立した職業を持ちながら、置き去りにされているような孤立感はひしひしと深まる。占い師のクリスティーン(キャリスタ・フロックハート)にカード占いをみてもらうと、男はやってこない、きてもあなたに愛想をつかすだろうという絶望的なお告げ▼銀行の支店長レベッカ(ホリー・ハンター)は不倫中だ。タバコをねだるホームレスに「愛を知らない哀れな子」といわれ、不思議と怒る気がしなかった。中絶手術のあと安静にと医師(これがキーナー医師)にいわれるが、パートナーは迎えにくると言った、そこで病院を出るものの男はどこにもいない。別れる決心をするが愛と思っていたものは何だったのか、情けなさがこみあげ号泣する▼童話作家ローズは思春期の息子からガールフレンドと寝たときく。子供と思っていたが自分の手から離れようとしている。引っ越してきた隣人が気になり、息子以外とより広い人間関係を求めようとしている自分の転機を感じる。占い師のクリスティーンはエイズで死を待つリリーと住む。出会いの思い出を話すクリスティーンは、別れの時がそこまできていること、自分があとにもさきにもひとり残されるさびしさに嗚咽する▼女性刑事キャシー(キャリスタ・フロックハート)の妹キャロル(キャメロン・ディアス)は目が見えない。姉だけが頼りだ。銀行の副支店長(じつはレベッカの部下)と知り合いベッドをともにするがどこか充実しない。姉が扱った自殺死体は高校の同級生だった。なぜ自殺したのだろうという姉の問いに、きっと愛のない生活に絶望したのだろうと妹は答えるがそれは自分自身への答えだった▼キーナー医師はいきつけのバーに寄った。隣の椅子にいるのは副支店長だ。彼はどことなくキーナー医師と話をしたそうだ。どのエピソードにも薄い影のように孤独が張り付いている。じたばたせず黙って受け入れている女たちそのものが、いつかくる希望を示している。

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