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シネマ365日

2012年5月22日

ハンガー (1983年 怪奇映画)

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監督 トニー・スコット
出演 カトリーヌ・ドヌーブ/デヴィッド・ボウイ/スーザン・サランドン

ドヌーブの女吸血鬼

 「ハンガー」とは「ハングリー」からきた、つまり「飢え」とか「渇望」の意味。女吸血鬼ミリアムに扮するのがカトリーヌ・ドヌーブ。つくづくなんでもやりたがる女優さんですね。何世紀にもわたり生き続けるミリアムが、不老不死と永遠の美をパートナーに与える。で、現在のニューヨークではデヴィッド・ボウイが伴侶なのだけど、最近老化が目立ってきたので病院に行く。有料介護施設まで探しそうな、非常に現実感のある吸血鬼です▼老化現象を研究する医師(スーザン・サランドン)をたずねるが、待合室にいる数分間にも老化は進み、スーザンに面談したときは白髪のミイラみたい。衰弱死したボウイをミリアムは「仕方ないわね」って感じでさっさと棺に納め、自分はちゃっかりスーザンに乗り換える。ミリアムの屋敷を訪れたスーザン。贅をこらした家具調度に広大な邸宅。ミステリアスである。うっとりとみとれるスーザン。たちまちミリアムのとりことなり意気投合してベッドへ。ほったらかしのかわいそうなボウイ。全身特殊メイクの老化現象にはたまげたわ▼ミリアムのレクチャーによれば生き血は一週間に一度くらい補給、あとは音楽を聴いたり読書したり、好きなことをして暮らせばよい(吸血鬼は血さえ吸えば生活費、稼がなくていいのだね)。生き血探しはまるで夜のハイキングだ。しかしスーザンは痩せても枯れても医師である。こんなことをしていてはいけない。理性をふりしぼりミリアムのもとを去るのだがミリアムは「すぐもどってくるわ」自信満々の美しい微笑。案の定スーザンは戻ってきた▼アアだ、コウだの挙句スーザンは最後の力をふるってミリアムをグッサリ。するとなんだ、なんだ。今までミリアムに葬られたボウイや歴代のパートナーがクローゼットからうようよ湧くように現れ、わっとむらがってミリアムをとり殺す。吸血鬼社会って、ちょっと大げさじゃないの? 女一人にゾンビが黒山のように群がるのよ。ラストは、えっ、スーザンは生きてベランダでタバコ吸っている。しかも相続人のいないミリアムの家屋敷、家具に絵画、豪勢な財産は管財人によって、予算が少ないとぼやいていたスーザンの研究所に配分されるのだ。吸血鬼のうわまえをはねたスーザンの一人勝ちじゃないの▼ゾンビに取り巻かれたミリアムは口のまわりを生き血で真っ赤にし、高層階から突き落とされ真っ逆さまに墜落。顔、手、胸、あらゆる皮膚と筋肉は瞬時のうちに老化現象を呈し、しわシワ、ぼろぼろ、腐るように肉は剥げ落ちドリアン・グレイの肖像もかくや…怖気をふるう醜悪な容貌を露呈する。よくやるなあ。まったくドヌーブってけっこうなマゾなのね。というか悪趣味にもホドがある。この年ドヌーブ40歳、ボウイ37歳、スーザン36歳。監督のスコットは39歳。世代間ギャップのない中年が、つまりそんなくだらないことやめろとだれもいわず、ワルノリしながらつくった映像コミックとしか思えない。

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