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シネマ365日

2012年5月29日

レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで (2008年 家庭映画)

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監督 サム・メンデス
出演 レオナルド・ディカプリオ/ケイト・ブランシェット/キャシー・ベイツ

残酷な家族劇

 家族とか結婚生活とかいうのは(職業生活もそうだが)多少の妥協とあきらめを経験して、折り合いをつけていくのが実際だろう。それは当事者たちにとっては夢を実現できなかった苦さと虚しさを伴うことだ。潔癖な人によっては-「レボリューショナリー・ロード」では、エイプリル(ケイト・ブランシェット)のように-自分をだますような人生とは折り合いがつかない、つけたくない、ということになってしまう▼サム・メンデス監督は「アメリカン・ビューティー」に続き、ここでも変化のない日常に潜む罠を仕掛け、幸福な家族が崩壊していくプロセスを描く。明るい家庭のかかえる空虚と絶望が「なにが自分の真実の人生なのだろう」という、ヒロインの問いとともにいぶり出されていくのは、ちょっと残酷なおもむきさえある。まあそこが「レボリューショナリー・ロード」のみどころなのですけどね▼「レボリューショナリー・ロード」と言われる通りの一軒家を購入したフランク(レオナルド・ディカプリオ)とエイプリルは子供が二人。エイプリルはもと女優志願で今は町の素人劇団でヒロインを演じる。劇評のことで夫とケンカし、押さえ込んでいた鬱屈が爆発する。夫は夫で「休まず遅れず、働かず」のサラリーマン生活。見ようによれば幸福このうえない身分なのだが二人には「真実の人生」を生きている実感がない。一体それって何だと聞かれてもたぶんよくわからない正体不明の閉塞感だ▼妻が「パリ移住」を提案する。フランクが戦争のとき駐在し、すばらしい町だといっていた。秘書は高給である、わたしが働くからあなたはしょうもない仕事に時間と労力を費やさず夢を実現して、というのだ。え、え、え。観客こそ不安に突き落とされる。人生をやり直すのになんでパリにいかねばならん。彼らの夢と真実にほとんどついていけないが、ヒロインの痛ましい焦燥だけはわかるのだ。大阪人なら「ボチボチ考えよ」で時間稼ぎするが、エイプリルとフランクにはとてもそんなことできない▼人生はときどきこんなゆさぶりをかけてくる、パリに行こうというゆさぶりを、真実の人生があるというゆさぶりを、かけてくる。このゆさぶりに沈む・立ち止まる・考える・忘れる。いろんな対応があろうが「レボリューショナリー・ロード」の結末は苦い。キャシー・ベイツの不動産屋のヘレンと、精神を病むその息子が、若夫婦二人に反して現実をしたたかに生きる女と、若い夫婦の甘さぶりを告発する、ほとんどメフィスト的役割を演じて際立っている。彼らによってこの映画はバランスをとったのだ。エイプリルとフランクの対話と出来事だけでは、現実の修羅場を生きている観客には、どうしようもないママゴトに映ったであろう。

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