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2012年6月1日

いにしえの「からくりおもちゃ」を見て、ふれて、楽しめる ―奈良町からくりおもちゃ館―

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奈良市陰陽町
奈良町からくりおもちゃ館

体験工房では手作り体験も。喜びや痛みも感じて、体感する

 奈良町の西にある城戸通り。少し急な坂の中程、明治中期に建てられた当時の面影を残しつつリニューアルされた町家がある。4月28日にオープンした「奈良町からくりおもちゃ館」だ。
 同館を運営するNPO法人「からくりおもちゃ塾奈良町」の事務局長・林啓文さんによると「この町家は元々、『松利』という料理屋さんを営んでいた松矢氏の隠居所でした。その一族の方が建物と土地、それに多額のお金を添えて奈良市に寄贈して下さったんです」。
 ちょうどその頃、奈良大学で四半世紀に渡り、江戸時代のからくりおもちゃを研究していた鎌田道隆教授が退官、古文書から復元した200点あまりの成果品を奈良市に寄贈した。

 「それらを何か活かせないものかと奈良市やならまち振興財団(当時)、松矢氏のご親戚などで協議しました。タイミングが良かったですし、懐かしいからくりおもちゃと町家というマッチングも良かったと思います」。町家の寄贈がなければ、おもちゃの展示はここまでできなかったかもしれない。

 「寄贈されたおもちゃは、文献の作られた時代とほぼ同じ作り方をしています。接着剤にボンドを使っていますが、それ以外はすべて自然素材。木や竹、土などで作られています」。
 現代のおもちゃは、プラスチックやビニール製が当たり前。木を使っていても塗料やコーティングには化学製品が使われていることが多い。同館のおもちゃは、子どもが触れても安心なものばかりだ。
 「当館では見るだけではなく、実際にさわって遊ぶことができます。また、体験工房では不定期ですが特別展示を行ったり、おもちゃを作る教室を開催したりしています」。

 ナイフで木を削る、熱を使って竹ひごを曲げる。そういった体験を通じ、自分の手で作り出す楽しさを実感するのはもちろん、道具を使う難しさ、ときには指先を切ったりすることで痛みを知ることも重要だ。
 「バーチャルな世界では痛みを感じることはできません。小さな痛みを通じて大きな怪我を防ぎ、人の痛みを知ることも大切です」。

 もちろん、安全面には万全を期している。工房では、指導するボランティアの技術向上を目指した研修も行っている。
 「京終に市場があったこともあり、昭和40年代まではこのあたりも賑やかでした。その活気を少しでも取り戻すお役に立てればと思っています」。
 周辺には懐かしい町並みや神社仏閣が多い。同館を拠点に、奈良町の西側、そして全体を楽しんで欲しい。その思いはすでに実を結び始めており、オープンから1ヶ月半で3千人以上の来館者があった。

 「6月24日には、紙つばめを作る教室を行う予定です。参加者は24名まで、費用は700円です。申し込みは先着順で電話かメールで申し込んで頂きます」。

 年輩者も多く訪れるという同館。中高年には懐かしく、若い世代には新鮮なからくりおもちゃ。奈良の名所が、またひとつ、誕生したようだ。

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