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シネマ365日

2012年6月18日

モンキー・ビジネス (1952年 喜劇映画)

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監督 ハワード・ホークス
出演 ケーリー・グラント/ジンジャー・ロジャース/マリリン・モンロー

笑って暴れるホークスの女たち 

 監督ハワード・ホークスのジャンルの幅広さはどうだ。西部劇「赤い河」(ジョン・ウェイン)「リオ・ブラボー」(J・ウェイン、)コメディ「赤ちゃん教育」(ケーリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン)文芸物(「今日限りの命」ゲーリー・クーパー)ギャングもの「暗黒街の顔役」(ジョージ・ムニ)ハードボイルド「三つ数えろ」伝記映画「ヨーク軍曹」(ゲーリー・クーパー)…▼彼の映画によって息を吹き返した、新境地を開いた、オスカーを取った俳優は多いが、監督自身は一度だけ「ヨーク軍曹」でノミネートされただけだ。でも彼の映画の作品群が、いかに映画ファンの愛する映画を撮った監督であるかを物語っている。それに彼はうるさ型フェミ系映画批評家に、なぜかとっても受けがいいのだ▼たとえばモリー・ハスケルは「崇拝からレイプへー映画の女性史」でホークスが「ハリウッドの偉大な女性像を創りだした」とのっけからほめ「ホークスの女たちは時がたつにつれより強く積極的になる」と拍手を送り「彼の女性の概念は少々曖昧な点はあっても」と、厳しい採点を忘れているわけじゃありませんがと匂わせるものの「女性の視点、少なくともアンチ性差別主義の視点のリアルな感覚を示し」ており、ホークスによって「ローレン・バコールやドロシー・マローンらが月並みな善人や悪人でなく、驚くほど生き生きとしたその混合体」になったと手放しに近い▼わかりやすく簡単にいうと、彼の描く女たちはみな気が強く男のいうことをきかず、たとえギャングの情婦のような立場であろうと自己主張を貫くという、男にとってやりにくい女がホークスは好きだったのだ。この遺伝子をひきついだ監督の一人は、間違いなくジェームズ・キャメロンであって「エイリアン2」でオスカー史上初の女性アクションスターをノミネートさせるほどの打ち込みようだった▼「モンキー・ビジネス」でも、ジンジャー・ロジャースといい、マリリン・モンローといい、生き生きと屈託なく演じ振舞っている。女が開放的かつ破壊的で腕力のあることがホークスの特徴で、「モンキー・ビジネス」の若返り薬を飲んだロジャースが笑いと騒動を引き起こし、これまた女から被害をこうむる、受けの芝居にめっぽう強いケーリー・グラントと二人で思いきり暴れまくるのだ▼若返る薬を開発した化学者(ケーリー・グラント)は、チンパンジーで実験していたが、ちょっとした隙に猿はオリをぬけだし、手当たり次第調合した薬を飲料水にまぜてしまう。それを飲んだ人間たちにたちまち化学反応が生じ、グラントは20歳の青年のように社長秘書(マリリン・モンロー)とはしゃぎまくる。夫の薬の効能がきれると、今度は妻(ジンジャー・ロジャース)が実験を買って出て飲み下す。若返る特効薬完成と聞き、社長も重役もわれも、われも、と実験室に乱入する…▼罪のないドタバタというかもしれないが、テンポのはやい筋運び、のびのびした役者、天衣無縫に笑い、ふざける女優たちとケーリーの締め方が面白い。彼は「ぼくらは愚かな青春を生きのびて、やっと安定の時代に入ったのだ。それを若返りだなんて、また愚かさを繰り返すのか。そんな薬なんか要らない」「モンキー・ビジネス」から50年、アンチエイジングに血眼になっているご時世を、ホークスならどんな映画にしただろう。

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