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シネマ365日

2012年6月28日

ロング・キス・グッドナイト (1996年 アクション映画)

監督 レニー・ハーリン
出演 ジーナ・デイビス/サミュエル・L・ジャクソン

史上屈指のクライマックス 

 何度みても面白い。ストーリー、撮影ロケ地、俳優の個性、台詞、そしてアクションという映画言語が、全編を通じてじつに豊かに、饒舌に語られている。辛口の映画ファンがどこかにケチをみつけたとしても「ま、いいか」コソッと笑いながら許してしまう気になる傑作なのだ。「ロング・キス・グッドナイト」の劇中放映されているテレビ番組は「ロング・グッドバイ」のフィリップ・マーロウ(演じるのはエリオット・グールド)。こんなところにも監督のエンタメ嗜好があふれている▼この映画を撮ったとき主演のジーナ・デイビスとレニー・ハーリン監督は夫婦だった(その後離婚)。デイビスは「偶然の旅行者」で型破りな犬の調教師を演じアカデミー助演女優賞、「プリティ・リーグ」は女子野球のキャッチャー役でオスカー候補になるなど、幅広い演技派として認められているが、徹底してカッコいいのはなんといっても「ロング・キス・グッドナイト」だろう。監督とは当時アツアツだったにちがいない▼ハーリン監督も本気でジーナの魅力を全開させたかったのだろう、ライフルやナイフ、拳銃などの武器の扱い、格闘技のトレーニングを撮影開始の8ヶ月前からやらせ、彼女と相棒のミッチ(サミュエル・L・ジャクソン)が3階の窓から凍った湖に飛び込むシーンは、本当にマイナス9度の日に撮影された、それもテイク(本番)を3回も撮ったというから、ジャクソンは冷凍になりかけた。監督も俳優もスタッフも熱気が溢れている。ジーナ・デイビスの運動神経とトレーニング技術は本物で、シドニー五輪アーチェリー代表選考会の準決勝まで進んだ▼「ロング・キス・グッドナイト」の面白さは、ジーナとジャクソンの2人の芸達者の息が絶妙というくらい、合っていることだ。ミッチは元警官。女房と別れ生活のためにいいかげんな仕事もやる探偵稼業だ。ニセ警官に扮し、情婦とグルになり客をとらせ、安ホテルでベッドインしたところを踏み込んで「買春で逮捕」だと脅し示談金をまきあげる。正しいことをしたことは1度もないとサマンサ(ジーナ・デイビス)に告白する。そんな彼が誘拐されたサマンサの娘を助けるため身を挺して陽動作戦にでる。とめるサマンサに「1度くらい正しいことをしたい」と泣かせる台詞を吐く▼まだある。なんといってもハリウッド史上最高の400万ドルで落札された脚本(シェーン・ブラック)である。昔の男、じつは娘の父親である敵方のスパイ、今は自分を殺そうとしている男にサマンサがいう「叫びながら死ね」。この意味がクライマックスでわかる。娘にサマンサはこう教えていた「生きるとは痛みを感じることよ」これまたラストで、いたいけな8歳の娘の口からでたときはジンとくる▼粗筋も書こう。田舎の小学校の教師をしているサマンサはある夜自宅で暴漢に襲われ、殺されかけたとき勝手に体が反応し、男の首をへし折る。なぜ自分は命を狙われるのか、雇った探偵ミッチとともに過去にさかのぼる旅にでる。サマンサが偶然クリスマスのパレードに出たことから、死んだはずの凄腕のCIA工作員・チャーリーが生きていたことが判明していた。彼女が生きているとまずい。ミッチとサマンサは捕らえられ、残酷な拷問を受けたショックで失われた記憶は呼び起こされた。サマンサの逆襲が始まる。超人的な射撃のテクニック、爆破技術、東西冷戦の終結にからむ武器商人の暗躍、巨大犯罪組織、アラブ人ゲリラ、爆破テロ。時限爆弾と化した暴走するタンクローリー。ナイアガラの瀑布を背景に、カナダ国境の橋梁で繰り広げられる最後の死闘。夜空を焦がす炎上の大爆発を背に脱出するクライマックスは、映画史上の圧巻だといっても決しておおげさではない。