女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

シネマ365日

2012年7月11日

ガーフィールド2 (2006年 コメディ映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ティム・ヒル
出演 文中に含む

大好きになる「ばかばかしさ」

 わがまま放題のジコチュー猫・ガーフィールドが由緒あるイギリスの古城で怖いものなしの大暴れ。「なんでもあり」の無意味さとは映画にふさわしいテーマのひとつだとつくづく思います。古城の主はガーフィールドそっくりのプリンス12世。じつはこれ、400年続く貴族の家に飼われている何代目かの猫なのです。プリンスは城主の遺言によって全財産を引き継ぐ。領地、農園、家作、キャッシュ、動産・不動産一切合切である。城主の甥ダージス卿は遺産相続が外れ大憤慨。プリンスがいなければ自分のものだ。従業員(というのか家来というのか)に命じプリンスを川に捨てる。竹で編んだ箱はドンブラコ川をくだる。ロンドンまで65キロだ▼ダージス卿には大計画があった。広大な古城を一大リゾート地に造成するのだ。ゴルフ場、エステ、プール、ジム、エンタテイメントの殿堂にすると、はやくも共同事業者であるエステシャンを招いて嬉々と説明する。情報をキャッチしたネズミが農園の動物たちに急をしらせる。ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、イタチ、ブタ、カラス、アヒルたちはパニック。プリンスを見つけだしリゾートプランを転覆させねと知恵をしぼるが、動物が大嫌いのダージス卿は情け容赦なく動物たち(彼にいわせればケダモノ)一掃計画にとりかかる▼ロンドンでは飼い主ジョン(ブレッキン・メイヤー)の車に友達イヌ・オーディオとともに無断で乗り込んで到着したガーフィールドが、行方不明のプリンスを探していた古城の執事と出会い、執事はプリンスだと勘違いして連れ帰る。本物のプリンスはジョンと出会い、ジョンはガーフィールドだと思いこんでホテルに戻る。バッキンガム宮殿も顔負けの城でガーフィールドは臣下の動物たちに迎えられるがどうも、このプリンスは「レベル低すぎるわ。正気じゃないわ」とみな気づく▼しかし賢いイヌはダージス卿が、プリンスの失踪と不在を理由に、後継を無効とする手続きを弁護士と交わすのを阻止するには、とにかくプリンスを出現させることだ、にせものだろうと人間には見分けがつかないのだからグータラ低レベル猫でだまし通そう…なかなかやるのである。毎日供される料理は高級フルコース、ガーフィールドは大好きなラザニアを腹いっぱい食いたい。自分で作ることにする。ウシ、ヤギ、ヒツジ、臣下に命じて手順を教える。動物たちがトマトをつぶし、粉をこね鉄板にのばす。この楽しいシーンは特筆ものだ。最高の料理に全員舌鼓を打つ。生まれて初めて食べるラザニアの昼食会だ。このシーンでラザニアは料理を超えた「夢」となっていることがあとでわかる▼ダージス卿も負けていない。獰猛なイヌをガーフィールドにけしかけるが、ずる賢さでは猫に及ばない。プールではいつのまにかウシが水浴びし、アヒルが泳ぎ、カラスが羽ばたいて水しぶきをあげている。ダージス卿は卒倒しかける。そこへ本物のプリンスがジョンに連れられて帰館した。わけを知ると「みんなでとなりの城にひっこそう」というではないか。育ちのいいお坊ちゃんはこれだから困る。ガーフィーリドは血相を変え「やっつけるンだ。君たちはラザニアだって焼けたじゃないか。ダージスだってやっつけられる」その一言で動物たちの迎撃作戦が始動した▼「低レベルのバカネコ」ガーフィールドの蛮勇がおもしろい。彼は教訓を垂れない。人間をバカにし自分の快適な環境づくりにのみ邁進する。ガーフィールドのやることをみているうちに、世の中にセオリーなんかないのではないか、という気になるにちがいない。セオリーなるものがあることはあっても、それだけがすべてはないと思えるにちがいない。夢や希望が服を着て歩いているわけではないだろう、人が心の中でなにかに気づくか気づかないかで、夢も希望も幸福も、あるかないかに、持てるか持てないかにわかれるのだろう。たとえばラザニアのように。アカデミー作品賞なんか足蹴にして、ばかばかしくてなにもいえないけど大好き、といいたくなる映画ってあるのだよね。

Pocket
LINEで送る