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シネマ365日

2012年7月14日

ナイル殺人事件 (1978年 ミステリー映画)

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監督 ジョン・ギラーミン
出演 文中に含む

ミステリアスなミア

 アガサ・クリスティの「ナイルに死す」の映画化。ポアロにピーター・ユスティノフ、富豪の女相続人リネットにロイス・チャイルズ。リネットの夫サイモンにサイモン・マッコーキンデール。リネットの友人ジャクリーンにミア・ファロー、富豪夫人マリーにベティ・デイビス、マリーの付き人バウアーズ看護師にマギー・スミス、女流作家サロメ・オッタボーンにアンジェラ・ランズベリー、ジョージ・ケネディとか、オリビア・ハッシーとかデヴィッド・ニーブンとか、例によって豪華キャストだ▼「ナイル殺人事件」にもベティ・デイビスは出演しているが、これといった役割ではないので「悪女の元祖特集」からは外した。ベティの代わりにミア・ファローが奮戦している。クリスティの小説によく設定されるイギリス人老婦人もしくはそのグループに「ジェシカおばさんの事件簿」のアンジェラ・ランズベリー53歳、ベティ・デイビス(彼女はアメリカ人だが)70歳、マギー・スミス44歳の3人組が配された。デイビスとスミスは仲がいいのか悪いのかわからない独特の関係で、主たる登場人物ではないものの、ユーモラスな存在感を示す▼ストーリーはさほどこみいっていない。富豪のリネットは幼馴染のジャクリーンから婚約者サイモンに仕事を斡旋してほしいと頼まれ、本人に紹介される。つぎのシーンはリネットとサイモンの結婚式だから一足飛びに話は略奪婚にとんだわけだ。おさまらないのがジャクリーン。元婚約者と女友達の新婚旅行の行く先々につきまとい姿をあらわし、不気味に嫌がらせをする。新婚旅行というのがエジプトで、ピラミッド、スフィンクスと世界文化遺産めぐり。一行はナイルの川下りクルーに乗船する▼しかし乗船客はなんらかの理由でリネットに恨みをもっている。リネットにやぶ医者とののしられた医者とか、父親がリネットの父に破産においやられたとか、リネットの豪華な首飾りに関心をあらわにするアメリカ人富豪夫人とか、そのいっぽうで金持ちを目の仇にする社会主義の青年とか。まあ残念なのは「オリエント急行」の緊迫感がないのは列車と船の違いか。いかにものんびり豪華クルーズはナイルをくだる。ついにリネットが殺された。最大の動機をもつジャクリーンにはアリバイがあった。船という密室にもかかわらず第二、第三の殺人が生じた。目的はなに。ポアロの灰色の脳細胞がうごめきだす。謎解きはさすがクリスティです。でもそれをいっちゃおしまいよ▼ミア・ファローに話を変えましょう。このとき33歳。初主演「ローズマリーの赤ちゃん」が23歳でした。ショートカットした小さな頭に繊細な目鼻立ち、皮膚のうすいほほにちらばったソバカス、小枝のようなモノセクシュアルな肢体は、オードリー・ヘプバーンの明るい妖精のような雰囲気とは別種の、異星異界の生物のようなミステリアスなオーラを放ちました。このあとミアは「秘密の儀式」でエリザベス・テイラーと、「ジョンとメリー」でダスティン・ホフマンと、「偉大なるギャツビー」でロバート・レッドフォードと、監督ではクロード・シャブロル、ロバート・アルトマンら映画界のそうそうたるメンバーと共演し女優キャリアを積みます。私生活では「刑事」で共演したフランク・シナトラと結婚のあとウディ・アレンとながいパートナーの関係、最近では「オーメン」の悪魔のような乳母。リュック・ベッソン監督のファンタジー映画とかなりのご活躍▼同世代には同じ67歳のジュリー・クリスティ、マイケル・ダグラス、ダイアナ・ロス、ジョージ・ルーカスらがいます。線が細いという人もいますが、むしろエキセントリックな印象で骨太の話題にことかかない人です。オープニングの音楽にちょっと注意。青々とした海のような大河にひきこまれる叙情的なサウンドはニーノ・ロータです。彼の名前をきくだけで耳によみがえる映画音楽がありますね。「道」「太陽がいっぱい」「ゴッドファーザー・愛のテーマ」。「ナイル殺人事件」は彼の最後の映画音楽になりました。

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