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シネマ365日

2012年7月15日

キスキス、バンバン L.A.的殺人事件 (2005年 コメディ映画)

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監督 シェーン・ブラック
出演 ロバート・ダウニー・Jr/ヴァル・キルマー/ミシェル・モナハン

ライト感覚のコメディサスペンス 

 ニューヨークのコソ泥ハリー(ロバート・ダウニー・Jr)が、警官に追われ逃走中、逃げ込んだ先がハリウッドの探偵映画のオーディション会場だった。場当たり即妙の演技で合格したハリーは役作りのため本物の私立探偵ペリー(ヴァル・キルマー)に弟子入りする。ペリーはゲイである。そんな二人の前にハリーの幼馴染ハーモニー(ミシェル・モナハン)が現れた。女優を夢見た彼女の仕事は目下CFの出演が一本だけだったけど▼ペリーと組んだハリーは探偵らしさを必死に真似するが、何をやらせてもドジだからペリーはいらいら。ペリーとともに尾行していた美女が死体で発見され、3時間のうちに死体が3体、ハーモニーの妹が奇怪な自殺をするわ、ハリーの指がちぎれるわ、一挙に展開するわりにはどことなくユッタリしているのは、ハリーの語りによって物語が進行するからだろう。ロバート・ダウニーはもともとコメディに強い。アカデミー主演男優賞にノミネートされたのがチャプリンの自伝映画「チャーリー」だった。しかし薬物問題で逮捕6回「キスキス」でも自分の逮捕劇や薬物がらみのギャグを頻発させている▼もういい加減にしなければと一念発起、メル・ギブソンの協力などで薬を断ち、復活したのが「アイアンマン」つづいて「シャーロック・ホームズ」(ゴールデン・グローブ賞主演男優賞)とヒットにめぐまれ、いまやハリウッドの最前線で活躍する。かつて日本で食中毒にあってから日本を敬遠し「シャーロック」も「アイアンマン」もタイトルロールなのに、宣伝に来日していない。身長172センチ。役作りにのめり込むことで知られる。「キスキス、バンバン」も持ち味の「ユッタリ」さが、死体ゴロゴロを軽いコメディタッチにした▼さて監督だけど、じつはこれシェーン・ブラックの監督デビュー作なのだ。覚えておられるだろうか。「ロング・キス・グッドナイト」で史上最高の400万ドルの脚本料を手にした脚本家。あれがシェーン・ブラックだ。もともと脚本がホームグラウンドの彼は、しかし「ロボコップ3」や「プレデター」に俳優で出演し、初めて手がけた「リーサル・ウェポン」が1億ドルの興行収益をあげ、がぜんドル箱脚本家となった。「リーサル」は1・2・3と製作されるヒットシリーズだ。つぎは製作・総指揮に乗り出し「ラスト・ボーイスカウト」「ラスト・アクション・ヒーロー」を撮る。いうまでもないが、前者はブルース・ウイリス、後者はシュワちゃんというハリウッドの大物が主演、だんだん彼も大物になってきてとうとう監督業に及んだのがこれ「キスキス、バンバン」だった▼アクションあり、サスペンスあり、ブラックコメディあり、ゲイあり、そんなジャンルがモザイクふうにはめこまれ全体がスタイリッシュだ。ペンシルバニア生まれ、東部出身の監督にすれば深刻にならないスピーディーな処理とライト感覚を強調して「L・A・的殺人事件」という副題をつけたのかも。日本発「デスノート」が次回作に決まり「アイアンマン3」が待機中というから、ハリウッドはますますコミック化していくのだろう▼そうそうヴァル・キルマーをのけものにしてはいけなかった。彼が俳優として有能であることはわかっているけど、ちょっと太りすぎたのではないですか? 顔のサイズが天地より左右のようが広くなってきたわ。これがあのヴァル・キルマーかと…あの、というのはたとえば純愛物語の「あなたが見えなくても」のときの彼。目の見えない青年が恋人の顔が見えるようになりたくて手術を受ける、目はみえるようになったが、かえって見えなくなったものがあった、目がみえていた恋人は、青年の目がみえるようになったのに、自分は見失ってしまったものがあった、そういういい映画ですが、あのときのような繊細な役が…天地左右2倍に拡大した顔にサングラスははまるのだろうか。だから「キスキス・バンバン」で、てっきり殺されたと思ったのに、何事もなかったふうにいきなりピンピン現れたときは「なんだ、これ」呆れたな。どこまでもマンガチックだ。シェーン・ブラック監督の「これがわたしの生きる道」なのか。ま、いいけど。脚本に身をいれてほしいわ。

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