女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

シネマ365日

2012年7月27日

フライド・グリーン・トマト (1991年 ハートフル映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ジョン・アヴネット
出演 キャシー・ベイツ/ジェシカ・タンディ/メアリ・スチュアート/メアリー=ルイーズ・パーカー

血のつながりのない絆 

 1930年代のアラバマと現代のジョージアのふたつの時間軸が平行して進む。現代ではジョージアの主婦エブリンが、夫と老人ホームにいる叔母を見舞いにきている。そこでエブリンはニニー(ジェシカ・タンディ)という白髪の女性に出会う。ふと話しかけたエブリンはいつしかニニーが語る「イジーの話」に引きこまれ、叔母がホームを引き払ってからもニニーに会いにくる。エブリンの夫は妻に関心を示さず、帰宅すればテレビの前で野球観戦。妻の話に耳をかそうともしない。家庭生活に失速していたエブリンは、年はとっていても生気のあふれているニニーに興味をひかれたのだ▼ニニーの物語が1930年代のアラバマである。ニニーはイジーの兄クレオに嫁いだ、つまりイジーは義妹にあたる。イジーが少女のとき最愛の兄を事故で失い、イジー(メアリ=スチュアート)は暗いひねくれた思春期を送っている。そこへ兄の恋人だったルース(メアリー=ルイーズ・パーカー)が訪れ友達になろうという(イジーに手がつけられない母親が、心配のあまりルースに頼んだのだ)。心を開かなかったイジーだが、ルースの明るい素直な性格にうちとけ秘密の場所に案内する。そこは巨木の祠にある蜂の巣。体のまわりを黒雲のようにハチに取り囲まれながら、イジーは平気で祠の中に腕を入れ、ぼとぼと雫の垂れる濃密な蜜のかたまりをとりだして瓶に入れ、ルースに受け取ってほしいという「ビー・チャーマー」(蜂に好かれる人)がいることは聞いていたが「あなたのことだったのね」ルースは妙に感心し指ですくって舐める。少女2人の、まるで義姉妹の儀式のようなシーンである▼結婚することになったと、夜の泉のほとりでルースは打ち明け、イジーのほほにキスすると妖精のように水に入っていく。広がる波紋をイジーがさびしそうにみつめる。結婚式に招待されたがイジーは返事をださず、アラバマからジョージアまで徹夜で車を走らせ、木かげから結婚式の日のルースを見守った。そして2度と会うまいと誓う。しかし我慢できなくなり数年ぶりにルースを訪ねる。ルースは妊娠していて顔に痣をつくり、なにも言わず帰ってくれと頼む。数日後再びやってきたイジーは腹心の黒人の召使ビッグ・ジョージと次兄のジュリアンを連れ、ルースの荷物をトランクにつめると、ルースにつきまとうと殺してやると夫を脅し、ひきあげる▼女2人は鉄道の線路のわきに食堂を開いた。ルースは男児を出産しイジーの兄の名バディと名付ける。店の名が「フライド・グリーン・トマト」青いトマトを薄く輪切りにして、たっぷりな脂で揚げる南部の代表料理だ。黒人にもホームレスにもわけへだてのないルースやイジーに店は繁盛する。イジーを好きな保安官は何度肘鉄をくっても店にくる。イジーとルースが料理の下準備をしながら、子犬がじゃれあうようなケンカは、心の安定を得た2人の幸せの絵解きのようだ。ルースの夫フランクが居場所をつきとめ、黒人を排撃するKKK団をつれてルースの家を襲う。乳飲み子を守りフランクに立ち向かったのは、ビッグ・ジョージの妻シプシーだった…▼イジーとジョーは殺人で起訴される。身内でもないイジーのいうままなぜ家をでたのか質問されたルースは「彼女は親友で、愛していましたから」と平静に答える。死体は発見されず牧師が2人のアリバイを証言し、検察が法廷を維持できないと判断した裁判官は「フランクは運転を誤り川に落ち死体は魚に食われたのだ。よって起訴は却下」(死体がどこに雲隠れしたのか最後に明らかになる)。ルースはガンで死ぬ。ニニーの話をききながらエブリンは、夫に構ってもらうことに依存していた弱い自分に気づき、道はひとりで切り開くと決心。ジムに通い体を絞り、オバハンとバカにする若い女の車をグシャグシャにつぶす。うろたえる夫を尻目に家をリフォームし、人生にめざめさせてくれたニニーを恩人としてひきとると宣言した▼鉄道の通っていた線路跡に廃屋になった「フライド・グリーン・トマト」がある。その前でトランクに腰をおろし物思いにふけっているニニーをエブリンは探しだす。そばにあるルースの墓には蜂蜜が供えられていた。「イジーは生きているのね。イジーに会いたいわ」そういうエブリンに「あえるわよ」とニニー▼やせて鶴のようなジェシカ・タンディはいうまでもなく「ドライビング・Miss・デイジー」でアカデミー主演女優賞。本作でも助演女優賞にノミネートされた。キャシー・ベイツも誇張なく善良な主婦を演じた。「バッド・ガールズ」のメアリ・スチュアート。病人の役が多いが(「ボーイス・オン・ザ・イド」ではエイズで死ぬ)本当は健康そのもの、舞台で活躍するメアリー=ルイーズ・パーカーとビッグ・ジョージやシプシーが上手にからみあい、血のつながりのない絆を、抑制のある演技でしみじみと伝えている。

Pocket
LINEで送る