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特集「どんでん返し」

2012年8月16日

特集「どんでん返し」 バースデイ・ガール (2002年 ラブ・サスペンス映画)

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監督 ジェズ・バターワース
出演 ニコール・キッドマン/ベン・チャプリン/マチュー・カソヴィッツ/ヴァンサン・カッセル

悪くないセンス

 銀行員ジョン(ベン・チャップリン)は出会い系サイトで婚活中、ロシア花嫁をオーダーし、やってきたのがナディア(ニコール・キッドマン)だ。この「バースデイ・ガール」身近にいる映画ファン同士の間で、駄作だ、いやまあまあだと評価がわかれており、どっちかなと思ってみることにしたのです。キッドマンの2002年といえば大ヒット作「アザーズ」(2001)に続きついに獲得なったアカデミー主演女優賞「めぐりあう時間たち」(2002)と非常に実り多い時期でした。二作の間にチョコっと「パニック・ルーム」にヒロインの夫の恋人の声だけにノン・クレジットで出演しました。というのもジョディ・フォスター演じた主人公は当初キッドマンが予定されていましたが、ケガでフォスターに代わったのです▼「バースデイ・ガール」は確かに「アザーズ」や「めぐりあう」のような牽引力のある演技ではないですが、そう駄作でもないですよ。徹底善意のジョンに心が洗われ、悪事から足抜けしようというナディアは、たとえば「冷たい月を抱く女」や「誘う女」みたいな心底えげつない女ではないのですね。この善良な人に申しわけない、申しわけないと後ろめたさを覚えつつ、悪漢の道具にこきつかわれている。悪女になりきれない女の体温、みたいなものをよく出していたと思います。それに監督も、本作が日本初公開でしたが、わりといいセンスだと思います。ジェズ・バターワースは「フェア・ゲーム」(2010)の脚本を書きました。ナディアを迎えに空港にきているジョンが、なかなか本人を見つけられない、あきらめて帰ろうとする、ふと気がつくとだいぶ離れたところから自分を見つめている若い女がいる。キッドマンをロングでとらえたこのショット、けっこう冴えていましたよ▼ジョンのナディアの蜜月は絵に描いたような新婚時代。ナディアは英語がしゃべれない。ジョンは辞書を引きひき簡単なロシア語で単語を並べ、ナディアへの思いを現そうとする。ある日きょうは自分の誕生日だとナディアが手振りをまじえて伝える。喜んだジョンはケーキを買い、楽しいパーティーがスタートしようとしたとき、どかどかと見知らぬ男二人が闖入してくる。ジョンは仰天するが、ナディアは彼らと抱き合い、ジョンにはさっぱりわからないロシア語でしゃべっている(キッドマンが自分でしゃべっています)▼カタコトで英語を話す一人にわけを聞くと、彼アレクセイはナディアの従兄弟、もう一人はアレクセイの友人のユーリ(ヴァンサン・カッセル)。彼らは世界各地を渡り歩くロシアのミュージッシャンというふれこみで、イギリスにきたのでナディアを訪問したというのだ。ジョンは彼らを逗留させるが、彼らの、とくにユーリのナディアへのふるまいは粗暴だ。ナディアがおびえるのでジョンは二人に出ていってくれと頼む。そこで二人が正体を現す▼彼らはナディアを含めた強盗詐欺の三人組だ。出会い系サイトにひっかかったカモにナディアを送り込み、新婚生活が始まったころをみはからって男二人がやってくる。新妻のナディアを脅し人質にして、夫から金をまきあげ逃走するという、各国をまたにかけた結婚詐欺である。銀行に10年勤続し上司の覚えもめでたく、仕事を任されているジョンは、9万ドルという大金を金庫から盗みだし、お尋ね者となる▼ナディアは命がけで、ユーリから自分を助けてくれたジョンと離れがたい。離陸の時間は迫る。ナディアはジョンに耳打ちする。なんて、そんな、とんでもない話…驚愕するジョン。でも二人は「どんでん返し」をやっちゃうのだ。銀行強盗の汚名もなんのその、ふたりの愛の新天地が待っているさ(そんなうまいこといくか、という気がするのが普通だが)。ネチネチといやらしい味をだしていたユーリ役のヴァンサン・カッセル。最近の映画だとコレ思い出しません? 「ブラック・スワン」で、ナタリー・ポートマンのプリマドンナを指導するあの舞台監督です。母語フランス語のほか流暢な英語を話し、本作ではロシア語です。みなわりと頑張った映画じゃない?

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