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シネマ365日

2012年8月23日

96時間 (2008年 アクション映画)

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監督 ピエール・モレル
出演 リーアム・ニーソン/ファムケ・ヤンセン/マギー・グレイス

親父力ノンストップ

 小島信夫の「抱擁家族」とか山崎正和の「鴎外闘う家長」なんかがチラホラした。家族の崩壊がありその一方には家族のために闘い守る父の像。そういえば「強い父親」って、今では化石時代の「歩く遺跡」になってしまったのだろうか。でもちがうのだ。「96時間」はちがうのだ。親父力が爆発する。そこらにいる妙にわけのわかった、嫁ハンに大きな声もだせない親父なんかクソくらえ。貴様らがなんといおうと常識とはおれのやることが常識だ。つまり「96時間」のこの親父、娘のためならなんだってケタはずれのことをやっちゃうのだ。家宅侵入、無差別殺人、家屋破壊、かわいそうになんの罪もない高級官僚の奥さんさえ「命に別状ないだろ」なんていわれてズドン、腕を撃たれちゃうのだ。どうにもならないこの親父。彼はノンストップ▼とはいえ父親の悲哀も充分ただよわせる。元CIA工作員ブライアン(リーアム・ニーソン)は仕事一筋のあまり妻レノア(ファムケ・ヤンセン)に離婚され、いまの楽しみは17歳に成長した一人娘キム(マギー・グレイス)にあうこと。誕生日に歌手志望だという娘のために選び抜いたCDラジカセを買ってパーティー会場にくると、品物だけ置いて帰ってちょうだい、と元妻の冷たい対応。妻の再婚相手の富裕な事業家、つまりキムの義父のプレゼントはホンモノのサラブレッド。憮然とするブライアン。そうですねー。父親に対する子供たちの反応といえば「興味ない」「どうでもいい」「よくわからん」という無関心が少なくない。もはや家の中心に父親はおらんのか。まして離婚したとなると…強いあこがれの父親像が消えていくのは日本だけではないらしい▼そう思っていた。ところがだ。パリへ娘は友達と二人で旅行するという。ブライアンは17歳の娘っ子の個人旅行なんて心配で仕方ない。安全に対する認識がなっとらん。元妻は今さら心配してほしくないと一刀両断。パリにつくなり娘たちは人身売買組織に誘拐される。ここからだ、親父は単身パリに飛ぶ。てがかりは誘拐直前に娘が残したわずかな情報だけ▼ピエール・モレル監督が「96時間」を、ただの騒々しいアクション映画に終わらせていないのは、たとえばこういうシーンだ。人身売買組織の巣窟に潜入したブライアンは、娘のジャケットを着ている女の子を救出し、被害者がどこに集められているか聞き出そうとするが、その子は麻薬漬けになっていて半死半生。ブライアンは工作員七つ道具のカバンから点滴を用意しきびきびと手当する。高機能ケータイの精緻なメカニズム。強い親父はメカにも強いのだ。射撃の腕は百発百中。一発もそれないのはおかしいだろ、と観客がイチャモンつけようとでもしたら、たちまち親父はマシンガンをひったくり全方位全乱射、当たろうと当たるまいともはやどうでもいいのだという、爆発的破壊力をみせつける。このメリハリのきいた演出が有無をいわせない▼携帯に残された声をたよりに追いつめていくブライアン。96時間というのは誘拐された被害者が無事でおられるリミットです。だから親父は96時間に体を張る。監禁された娘の前で悪漢を射殺「お父さん。来てくれたのね」と泣きつく娘に「命がけで守る」とパパ。男は年齢に関係なく、こういう決めセリフを用意しておくべきではないでしょうか。ニーソンはこのとき56歳でした。「え~」驚きが隠せないですね。訓練オタクのトム・クルーズも顔負けの筋肉と運動神経。しかも190センチの身長に、体重をしぼった体はじつに見栄えがいい。彼は42歳で結婚、相手はナターシャ・リチャードソン。ご存知の方もおられると思いますが、映画監督トニー・リチャードソンと女優バネッサ・レッドグレイブの娘です。映画界のおしどり夫婦といわれながら好事魔多し。スキー場でバネッサが転倒し脳死状態に。生前の意思通り総ての生命維持装置が外され45歳の若さで亡くなりました。ニーソンはその後22歳年下の女性と再婚しています。

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