女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「ディーバ(大女優)」

2012年9月2日

特集 ディーバ(大女優) オードリー・ヘプバーン 
麗しのサブリナ(1954年 恋愛映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ビリー・ワイルダー

出演 オードリー・ヘプバーン/ハンフリー・ボガード

 

太く短かい女優人生 

オードリー・ヘプバーンが太く短く生きた女優だというと意外だろうか。あのたおやかなオードリーのどこに「太く短い」コッテウシみたいなイメージがあるのだとお思いかもしれない。しかし数字は語るのだ。彼女が24歳「ローマの休日」でアカデミー主演女優賞を取り、以後順調に大スターの道を歩んだ。これはどなたもご異存はないだろう。そこでオードリーと同世代の同じオスカー女優を比べた。ひとりはエリザベス・テイラーだ。これこそ意外だがふたりは仲がよかった。稼ぎは悪いのに浮気ばかりしている亭主の悪口で、たぶん盛り上がったにちがいない▼オードリーの実質的な女優活動期間は「暗くなるまで待って」(38歳)に至る14年間だろう。それ以後の「ロビンとマリアン」はオードリー47歳「華麗なる相続人」は50歳のときで、事実上引退していた。リズはどうか。子役出身という特別な条件はあるが「名犬ラッシー時代」から数え51年を文字通り銀幕の女王として過ごす。ソフィア・ローレンはどうか。デビューした「クオ・ヴァデス」から1994年の「プレタ・ポルテ」まで43年。シャーリー・マクレーンは1955年の「ハリーの災難」から「バレンタインデー」(1994年)まで51年に及ぶ現役である。確かに80歳まで生きた、あるいは現在も長寿をものしている彼女らに比べ63歳で没したオードリーは短命だったといえる。それにしても彼女のスパっとした引退をみていると、ある種の冷たさのようなものを感じる。オードリーは本当に女優業が好きだったのか。そんな疑問さえ生じてくる▼オードリーが5歳か6歳のとき家族を置き去りにした父親の不在が、一生心のなかに大きな穴をあけ、2度にわたる結婚生活の失敗も、その空白が原因の一端を作っていると、オードリーの息子ショーンは分析している。オードリーの年上好みは父親への思慕の変形か。夫のメル・ファーラーは12歳上、役の上でも本作の相手役ハンフリー・ボガードがこのとき54歳で30歳上、つぎの「パリの恋人」のフレッド・アステアは58歳でこれまた30歳上、「昼下がりの情事」のゲーリー・クーパーは56歳で28歳上。「シャレード」のケーリー・グラントは59歳、「マイ・フェア・レディ」のレックス・ハリスンは56歳と若い男優はなかなかというか、全然お呼びではないのだ▼本作と「昼下がりの情事」を監督したのはビリー・ワイルダーである。彼はインタビューでクーパーとヘプバーンの年齢差は気にならなかったかという至極まっとうな質問に、そういうことを気にさせないのがクーパーだと答えているが、女性が若い分にはいくら若くても差し支えない、というのはどこまでも男の感覚であり、女からみたらいくらクーパーでも28歳年上となれば二の足踏むのが普通だわ。フレッド・アステアはこれまたオードリーが、踊る相手は憧れのアステアだと大喜びして引き受けた役だが、踊るだけならともかく(なにしろフレッド・アステアだもの)キスシーンとなるとちょっとつらいものがあるなあ▼ともあれワイルダーはオードリー贔屓なのだ。「ローマの休日」のウィリアム・ワイラー監督とビリー・ワイルダーは私生活でも親友で、そろってオードリーの主演映画を2作ずつ撮った。そしてそろってオードリー・ファンだ。ベタ褒めですよ。ワイルダーなんかキャメロン・クロウのインタビューでこんなこと言っている。「あの小柄な女性には人が信頼せずにはおれないなにかがあった」「ヘプバーンが特別だったのは、いわゆるきれいな女優ではなく、輝かしい存在だったからだ」「ヘプバーンにはカメラも奪ええぬ何かがあったそれはふたつとないものだ」「麗しのサブリナは自分の好きな映画だ。ほかの映画に比べて(ラブシーンが)まろやかだ。ヘプバーンのサブリナは男性遍歴を匂わせる女性ではない。今でこそさまざまな恋愛や共演俳優との仲が表沙汰になっているけれど、当時そんなことはおくびにも出していなかった」こういうオードリーの公私の「けじめ」の厳しさが、感傷など薬にしたくてもないワイルダーの波長と合ったのでしょうね▼粗筋は大富豪の実業家ララビー家の運転手の娘サブリナ(A・ヘプバーン)は屋敷の次男デイビッド(ウィリアム・ホールデン)が好きだが、しょせん身分違いの恋。父親は娘が不憫だ。かなわぬ恋をあきらめさせようとパリの料理学校に留学させる。そして2年。帰国したサブリナはデイビッドがみまちがえるほど洗練された美しい娘に変身していた。長男ライナスは事業拡張のため、弟を取引先の社長の娘と婚約させた仕事人間。ところが弟はサブリナに夢中。ぶちこわすしかないとサブリナに近づくが、ミイラ取りがミイラになってしまった、というラブコメの王道です。でもワイルダー監督はかなり控えめに言っているけど、ヘプバーンの恋愛遍歴を承知してこの映画をみると、彼女のラブシーンがじつにセクシーなことがわかります。

Pocket
LINEで送る