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特集「どんでん返し」

2012年9月23日

特集 どんでん返し番外編/ケビン・スペイシー「ベスト3」
ユージュアル・サスペクツ(1995年 クライム・サスペンス映画)

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監督 ブライアン・シンガー

出演 文中に含む

カイザー・ソゼはだれだ 

「どんでん返し」にはどうにもこうにもこれを外してはまずい、という映画があります。私見をいえばそのひとつは「情婦」ひとつは「ショーシャンクの空に」あとひとつは「スティング」で、もうひとつが「ユージュアル・サスペクツ」です。「情婦」はマレーネ・ディートリッヒの項で、「スティング」はポール・ニューマンの項でくくり、残ったのが「ユージュアル・サスペクツ」でした▼「ユージュアル」の面白さがダントツであることに否やはないのですが、それは「どんでん返し」であるだけの理由だろうか。観客の裏をかくのはもちろん、優れた脚本や監督の腕によるものですが、あの役者がいなかったらどうだっただろう、平板でツルンとした、いかにも風采のあがらない、ケビン・スペイシーという人が…▼彼がオスカーをとった「アメリカン・ビューティー」を無視して今回の「ベスト3」に選んだのは「ユージュアル・サスペクツ」「ライフ・オブ・デヴィッド・ゲイル」「セブン」です。共通項はどんでん返しであることとスペイシーがズバリ主役であること。これら三作には、一見ごく普通の市民を装いながら、じつは一筋縄でいかないミステリアスな彼の持ち味がよく現れていると思えたのです。彼の出演したミステリーには、例えば「真夜中のサバナ」(1997)では、いくらクリント・イーストウッド(監督)贔屓だとしても、ケビン・スペイシーに関してだけは、ミステリアスなどころか気色の悪いただのオッサンで、作品自体の結末もあざやかとはいいかねました▼さて本作です。ジョン・オットマンの叙情的な旋律が流れる夜のサンペドロ港に、停泊中の貨物船が爆破され27人の死者がでた。生存者は二人。詐欺師のヴァーバル(ケビン・スペイシー)と大やけどを負い、病院に収容されたハンガリー人の乗組員だ。捜査官クイヤン(チャズ・パルミンテン)がヴァーバルに尋問し、それに答えるというヴァーバルの回想形式で映画は進行する(これが最大のヒント)。もう一人の大やけどの生存者を調べるFBIの捜査官は、彼の口からもれた「カイザー・ソゼ」という名に驚愕する。ソゼとはFBIが総力で追いかける伝説の麻薬王、だれも正体を見たことのない謎の人物だった▼ヴァーバルの話によれば、拘置所で知り合った5人の犯罪者のうちの1人がもうけ話をきりだした、あとの4人がのった。そのもうけ話が失敗したところへコバヤシ(ピート・ポスルスウェイト)と名乗る弁護士が現れ、君たちは全員カイザー・ソゼに借りがあるという。みなスネに傷のあるやつばかりで、結局はソゼの企む犯罪に巻き込まれることになる。やることは簡単、貨物船で行われる9100万ドルの麻薬取引を襲撃し、麻薬が上陸できないようにさえしてくれれば、ソゼの縄張りは新興勢力にかきまわされないですむ、諸君が奪った金と麻薬は好きに処分してよい▼病院ではソゼの顔をみたという瀕死のハンガリー人相手に、似顔絵の聞き取りが行われていた。クイヤン捜査官は5人の貨物船襲撃犯の中に、以前から別の事件で追っていたキートン(ガブリエル・バーン)がいたことを知り、ソゼはキートンにちがいないと確信してヴァーバルを締め上げる。ヴァーバルは事件を仕組んだのはキートンだと白状し、クイヤンは長年の追跡がキートンの死によって終わったことにほっとする。事件の一部始終を話し終えてヴァーバルは警察をあとにする。今回の事件は麻薬市場を独占するべく、ソゼがたくらんだ計画だったがそのソゼも死んだ…安堵して何気なく壁の指名手配者の記事を眺めたクイヤンの顔色が変わる。そこへファックスが着信した。ソゼの似顔絵ができあがったのだ▼二重、三重の見事なからくりです。半身に障害がある、気が弱くてずる賢い、哀れっぽい中年男を演じたケビン・スペイシーの、ラストがとにかく鮮やかです。では最大のヒントについて。本作のベースはアガサ・クリスティの「アクロイド殺し」です。同じネタを二度と使うことがこれ以後不可能となったといわれた「アクロイド」のトリックはなんだったでしょう。

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