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シネマ365日

2012年9月26日

コンテイジョン(2011年 社会派映画)

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監督 スティーブン・ソダーバーグ

出演 本文に含む

リアルな感染劇

ああ、こわい。この調子ではうっかり握手もできんわ。Contagion(接触による感染)だからね。手洗い励行ですよ! 映画の冒頭に登場する香港出張帰りのベス(グウィネス・パルトロー)が、夫ミッチ(マット・ディモン)の待つ自宅に帰ったとたん顔が紫色になって、あっけなく死んじゃうのよね。息子までが母親のあとを追う。ミッチは「悲しい」を通りすぎてわけがわからない。シーンは一転、中国、日本、スイス、イギリス、フランス、世界各地で感染が発症しバタバタと人が倒れる。WHOや他の研究機関が総動員で原因究明にあたるが、コウモリとブタの混合新種のウイルスとしか見当がつかず、もちろんワクチンもない▼社会パニックが生じた。感染力が強く4人に1人が死に至る。食料は買い占められ、街はゴーストタウンと化し、ワクチンを開発するための実験で、研究所は猿の死骸の山だ。パンデミックを阻止しようとする医師、ワクチン開発に没頭する医師、感染の危険をかえりみず現場で治療にあたる医師、と思うとネット上に預言者のように現れ、政府のウソを暴き立てるレポーター、アラン(ジュード・ロウ)が出現。ところが彼はある薬草が感染予防に効果があると指摘し、ちゃっかり製薬会社と組んで利益誘導する。アトランタの疾病予防センターからミソネタに派遣された医師エリン(ケイト・ウィンスレット)は、昼夜を問わぬ医療活動のさなか感染により死亡▼ミッチは娘を感染から守ろうとボーイフレンドにもあわせず、強権的に家に閉じ込める。どこもかしこも異常事態だが、ソダーバーグのとらえかたが冷静だ。感染の2日目から映画は始まる。ドキュメントふうに3日目、4日目と続き医師団の奮闘や、死亡や、ワクチン開発の失敗が続き、ある日不意に生きている猿がスクリーンに映る。猿は「生存」つまりワクチンは開発のめどはたったのだ。本来劇的であるはずの箇所もプロセスも素気ないほどの扱いである。派手なサウンドが入るわけでもない。主演級の女優はあっさり死なせるし。好みの問題かもしれないけど、マット・ディモンが「ボーン」シリーズみたいに全然生きいきしていない。彼はまだ41歳。アクションがしんどくなる年でもなく、堅実な演技派として地位も占めているのに、物足りないことおびただしい。みるからに曲者といったレポーターに扮したジュード・ロウのほうが印象に残ります。ローレンス・フィッシュバーンはそもそも医師というガラだろうか。「マトリックス」のモーフィアスや「理由」の刑事が強烈だっただけに、そっちのほうに引きずられる。エディット・ピアフでオスカー主演女優賞だったマリオン・コティヤールも主役級ではあったけれど鮮烈とはいえない…この映画の主役級全員について、なにを言っても歯切れが悪くなるのは、結局ソダーバーグが監督するという理由だけで、豪華配役陣のみなさんは、どうでもいいとはいわないが、特に自分でなくともいい役をひきうけたってことよね▼ソダーバーグが手際よくプロセスを処理していくから映画そのものは退屈しないし、鳥インフルエンザやSARSで世界中の人が感染の危機を経験しただけに内容がリアルだ。大騒ぎするパニックものでも、宇宙の侵入者でも、怪物モノでもない。それはとてもいい。でもこの物足りなさはなんだろうな。たとえば映画の文法でいう「決めセリフ」とか「見せ場」とか「泣かせる」とか「そうだ、そうだ、そう思うのだ」という拍手したい気持ち、つまり「共感」が弱いのだ。平凡な映画でも共感力の強い映画は胸に「ワッ」とくる▼「コンテイジョン」を、映画館をでるときの会話でいえばこうだろう「どう思う?」「うーん。まあまあとは思うが。ちょっと…」ちょっと首をかしげるのである。たとえばそれはどんな箇所か。ラストに「1day」(1日目)と出る。ファーストシーンは「2日目」から始まっていた。この1日目になにがあったか、ウイルスの発生源が明らかにされる。最初の犠牲者ベスが取締役をしているエンホフ社がジャングルを開発中だ。椰子の木に巣をつくっていたコウモリが開発で追われバナナかなにかを食べ、養豚場に飛んでいって糞を落とし、ブタがエサといっしょに食べ、そのウイルスに感染したブタを調理した料理長とベスが握手した。ちょっとした偶然と変異で死の感染は始まった。で、結局いいたいことは「だれとでも握手するな」ってこと? まさかね。大企業はバイオ兵器でも開発しているのではないかってこと? ワクチンの優先順位は公平に決めろということか? ようわかりませんでした。

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