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特集「ディーバ(大女優)」

2012年10月10日

特集 ディーバ(大女優) エリザベス・テイラー 
フリントストーン モダン石器時代(1994年 コメディ映画)

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監督 ブライアン・レバント

出演 エリザベス・テイラー/ジョン・グッドマン

リズ

エリザベス・テイラーの愛称はリズだ。本人はこの呼び方が大嫌いだった。だから親しい人はみな「エリザベス」と呼んだ。理由は一説によると兄のハワードが子供のころエリザベスにつけたあだ名が「とかげのリジー」だったからだというのがあるが、とにかく撮影中でも「リズと呼ぶな、絶対に呼ぶな」とおふれがでたそうだ。リズの機嫌が悪くなり大いに撮影に支障をきたすからだ。6番目の夫だったジョン・ウォナーが「わたしをリズと呼べるただ一人の人」だったらしい。本人の意図はどうあれ「リズ」は世界でたったひとりのエリザベスをさすことになった。リズっていう響き、簡潔で力強くて、なかなかいいじゃないですか。だから「ディーバ(大女優)5エリザベス・テイラー」の最終編は、やっぱり「リズ」でいきます▼「フリントストーン」の出演はリズ62歳のときである。リズは60歳になった誕生日に7番目の夫フォーテンスキーと1000人の招待客をディズニーランドに招いた。リズはディズニーランドが初めてだった。パーティーのあと招待客を帰したリズは、あと1時間だけ開けておいてくれないかと頼み、全部のアトラクションをまわった。そのときの感激をアメリカの有名なトーク・ショー「オプラ・ウィンフリー・ショー」でこう語っている。「子供のころからずっと働いてきたので子供心は抑えつけられていた、ただ働いてお金をもらってスクリーンのうえでは子供だったが、それは自分ではなかった」とリズは回顧し「ほんとにうれしかった。わたしの人生はすばらしいわ。60になったからってなにを大騒ぎすることがあるの。大人になった気だってろくにしないのに」とこぶしをふりあげ喜び叫んだというのだ▼「フリントストーン」出演の条件は初日の興行収入をエリザベス・テイラー・エイズ協会に寄付することだった。自分が理事長を務めた「米国エイズ研究基金」のやりかたが、お金のバラマキで効果が適切でないと不満をもったリズはエリザベス・テイラー・エイズ協会をたちあげ独自に運営していた。「フリントストーン」でリズの役は主人公ジョン・グッドマンの口うるさい義母である。人は好いが稼ぎがない婿殿を、リズは「あなたは恥のかたまりよ。食べ物以外に熱中するものがあるの。体が大きいから日除けにはなるわね」とクソミソにいい、頭にきた婿殿は「だまれ、干からびた化石ババア」と怒鳴る。このセリフをリズに面とむかっていうのにジョン・グッドマンは勇気をふり絞ったそうだ▼「フリントストーン」を最期に実質上リズは銀幕を去る。リズは子供をふたり産んで映画出演から遠ざかり、収入が途絶えたとき、女優という仕事はたくさんお金が入るだろうと思われているが、出ていくお金も大きいので、お金が有り余っているわけではないと述懐している。それにリズがひんぱんにアメリカやらヨーロッパに市民権を移動したのは税金対策のひとつでもあった。いずれくる引退時の収入源を考え、銀幕を去ってもあわれな暮らしはしたくないと、堅実なリズが考えたのは当然だろう▼大女優の地位を失って以来、落ち込む一方だった収入を大きく挽回し、あわれなどころか映画が一本もなくても年収7000万ドルをリズにもたらしたのは香水ビジネスの成功である。この香水「エリザベス・テイラーのパッション」はいまも香水売上の上位にランクインしている。「パッション」ファンの方も読者の中にはきっとおられるだろう。リズに香水ビジネスに乗り出すことを進めたのは女性マネージャー、チェン・サムだといわれる。影の形に沿うごとくリズ行くところチェン・サムあり。チェンこそリズが守りたい秘密のすべてを知っているその人だと、業界人のあいだでは通っていた。香水と女優の関係で有名なのは、いわずもがなマリリン・モンローの「シャネルの5番」だろう。デザイナー香水の第1号だ。オードリー・ヘプバーンも香水が好きだった。「マイ・フェア・レディ」で下町の花売り娘に扮しボロを着てセット入りしたときも、香水の香りだけはふんだんにふりまいていた。彼女が愛した香水がユベール・ド・ジバンシーの創作「ランラルディ」だった。オードリーが気にいって「わたしだけの香水にして」とジバンシーに頼んだところから「禁止」と命名された。グレース・ケリーの愛用は「マグリフ」と伝えられる▼リズの作品をいくつか追いながら、やっぱりケタはずれの女性だと思わずにはおれない。リズの顔は人をドキッとさせるものがある。美貌であるとかないとかではない。そんな程度のものではない。暗闇にひそんでいる野生動物が、じっとこっちをうかがっているのに気がついたときのような「ドキッ」だ。そいつは闇に身をひそめたりしない。闇すらのみこむ底知れぬパワーを放っているモンスターなのだ。

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